2009年01月11日
写真がしゃべる映像を作れる!
セカンドライフのアバターの写真にも応用できる!
http://www.100shiki.com/archives/2009/01/storyblender.html
STORY BLENDERでは好きな写真に「口」を貼り付けることができる。そのあとに音声を吹き込むと、その口が音声にあわせて動く映像を作ってくれる。
まだしゃべれない赤ちゃんをしゃべらせてみたり、ペットに何かを言わせてみたり、といった愉快な使い方ができるだろう。
もちろん作った映像はブログに貼り付けることもできるし、コメントを募ることもできる。
http://www.storyblender.com/index.asp
読み上げはラジオブラウザの合成音声でしゃべっています。
http://www.100shiki.com/archives/2009/01/storyblender.html
STORY BLENDERでは好きな写真に「口」を貼り付けることができる。そのあとに音声を吹き込むと、その口が音声にあわせて動く映像を作ってくれる。
まだしゃべれない赤ちゃんをしゃべらせてみたり、ペットに何かを言わせてみたり、といった愉快な使い方ができるだろう。
もちろん作った映像はブログに貼り付けることもできるし、コメントを募ることもできる。
http://www.storyblender.com/index.asp
読み上げはラジオブラウザの合成音声でしゃべっています。
2009年01月07日
Wiiボードでディズニーを歩く
バランスWiiボードで米国ディズニーを歩いてみた
現地に行かなくても、Wiiボードでゆっくり施設の見学ができるようになる。
ただ見学できる施設が今は少ない。
でもメルティングドッツのGoogle Earth上に設置できる3Dモデル建築物が広がれば、見学施設が増えて面白くなり
なりそうです。
http://インターネット建築.jp/
ストリートビューをWiiボードで
現地に行かなくても、Wiiボードでゆっくり施設の見学ができるようになる。
ただ見学できる施設が今は少ない。
でもメルティングドッツのGoogle Earth上に設置できる3Dモデル建築物が広がれば、見学施設が増えて面白くなり
なりそうです。
http://インターネット建築.jp/
ストリートビューをWiiボードで
2008年12月19日
音楽連続再生できるサイト!
YouTube音楽連続再生ができるサイト streamdrag
YouTubeの音声だけを再生してくれる!
YouTubeの動画は再生しないで、音声だけを再生してくれるサイトです。
YouTube動画をBGM代わりに使っている方には便利なサイトではないでしょうか。
検索も、このサイト上で行えます。
http://streamdrag.com/

YouTubeの音声だけを再生してくれる!
YouTubeの動画は再生しないで、音声だけを再生してくれるサイトです。
YouTube動画をBGM代わりに使っている方には便利なサイトではないでしょうか。
検索も、このサイト上で行えます。
http://streamdrag.com/
2008年12月02日
表情&頭の動きをトラッキング
表情&頭の動きトラッキングしてアバターに反映させるくさいサードパーティーのSLクライアント
顔の動きだけでなく、手の動きもトラッキングできると面白いと思いますが。
http://www.massively.com/2008/12/01/face-and-head-tracking-for-second-life-avatars/
http://jp.youtube.com/watch?v=h27CEpque34
顔の動きだけでなく、手の動きもトラッキングできると面白いと思いますが。
http://www.massively.com/2008/12/01/face-and-head-tracking-for-second-life-avatars/
http://jp.youtube.com/watch?v=h27CEpque34
2008年11月23日
YouTube Liveはテレビを超える?
本日朝10時からYouTube Liveをやっていました。
昨日から開始までの時間をカウントダウンしていましたので、注目して生で見てました。
個人的にはすごくよかったと思いました。
英語ですから何を言っているのかさっぱりわかりませんが、
生放送を見てるだけで、なんとなくわかります。
司会者や登場人物の多彩さだけでなく、YouTube 動画を効果的に使って何がでてくるのか
わからないわくわく感がありました。
これが日本でも日常的に行われたら、すごいことになる予感がします。
ある意味、テレビを越えるのではと感じます。
今回、日本でも行われるとのことですが、生方法でYouTube でみれるのかどうか、よくわかりませんでした。
アメリカのように、カウントダウン方式で生放送の開始時間を告知するなど盛り上げ方がもうひとつのように思います。
2時間位の生放送を分割し、細切れにされては後で録画を見ても、生で見ていたときの面白さは
録画では感じません。生放送はやはり違うと感じました。
残念ながら、日本のYouTube Liveは時間がなかったのでみませんでしたが。
(YouTubeの生放送が見れたかどうかわからなかいですが)
個人的には、日常的にYouTube Liveが行われれば、テレビの価値が下がるのは確実だなと感じました。
またYouTube Liveとweblinを使えばもっと面白くなります。
でも今回はweblinのアバターは私一人しかいませんでしたが
録画で細切れになっているので、わかりにくいです。
http://jp.youtube.com/live
日本のYouTube Live
http://www.youtube.com/livetokyo
昨日から開始までの時間をカウントダウンしていましたので、注目して生で見てました。
個人的にはすごくよかったと思いました。
英語ですから何を言っているのかさっぱりわかりませんが、
生放送を見てるだけで、なんとなくわかります。
司会者や登場人物の多彩さだけでなく、YouTube 動画を効果的に使って何がでてくるのか
わからないわくわく感がありました。
これが日本でも日常的に行われたら、すごいことになる予感がします。
ある意味、テレビを越えるのではと感じます。
今回、日本でも行われるとのことですが、生方法でYouTube でみれるのかどうか、よくわかりませんでした。
アメリカのように、カウントダウン方式で生放送の開始時間を告知するなど盛り上げ方がもうひとつのように思います。
2時間位の生放送を分割し、細切れにされては後で録画を見ても、生で見ていたときの面白さは
録画では感じません。生放送はやはり違うと感じました。
残念ながら、日本のYouTube Liveは時間がなかったのでみませんでしたが。
(YouTubeの生放送が見れたかどうかわからなかいですが)
個人的には、日常的にYouTube Liveが行われれば、テレビの価値が下がるのは確実だなと感じました。
またYouTube Liveとweblinを使えばもっと面白くなります。
でも今回はweblinのアバターは私一人しかいませんでしたが
録画で細切れになっているので、わかりにくいです。
http://jp.youtube.com/live
日本のYouTube Live
http://www.youtube.com/livetokyo
2008年11月16日
無法者を簡単にfreeze、追放!
土地オーナーは無法者に対しfreezeや追い出しが、簡単にできます。
「 freeze 」されると、相手は30秒動かせません。chatもできません。
( なお「 freeze 」されると相手にはfreezeされたと警告がでます。)
さらに「 追放 」で追い出すこともできます。
( 追い出されるとSIIMの端に飛ばされますが戻って来れます。)
そして追い出して、2度と入れないようにもできるようになりました。
( 解除するには世界→土地情報→禁止された住人を削除します。)



「 freeze 」されると、相手は30秒動かせません。chatもできません。
( なお「 freeze 」されると相手にはfreezeされたと警告がでます。)
さらに「 追放 」で追い出すこともできます。
( 追い出されるとSIIMの端に飛ばされますが戻って来れます。)
そして追い出して、2度と入れないようにもできるようになりました。
( 解除するには世界→土地情報→禁止された住人を削除します。)
2008年11月11日
携帯プロジェクターがアップルストアで!
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20383414,00.htm?ref=rss
11月20日からオンラインのApple Storeにて先行予約が開始される。価格はオープンだが、
店頭想定価格は5万円前後と見られる。
携帯プロジェクターについて投稿されていますが、まだ市販されないと思ってました。
でもアップルで、販売されるそうです。
携帯や小型パソコンと携帯プロジェクターあれば、どこでも大画面でテレビや動画が見れますね。
セカンドライフも見れるのかな?
11月20日からオンラインのApple Storeにて先行予約が開始される。価格はオープンだが、
店頭想定価格は5万円前後と見られる。
携帯プロジェクターについて投稿されていますが、まだ市販されないと思ってました。
でもアップルで、販売されるそうです。
携帯や小型パソコンと携帯プロジェクターあれば、どこでも大画面でテレビや動画が見れますね。
セカンドライフも見れるのかな?
2008年11月10日
iPhoneで生中継。
http://digitalway.iza.ne.jp/blog/entry/764026/
iPhone一台あれば生中継ができるらしいです。
でもiPhoneでの生中継はキャリアの ネットワークに負荷をかけ過ぎるという問題がある ので
実現できるのかな?
でもバスの中からの動画をみていると、日本での映像だし、簡単に生中継できています。
注目の技術ですね。
またイー・モバイルでも動画を快適に送れる環境を提供できるとの事。
個人が移動しながら、動画や生中継の画像を手軽に送れる時代が来そうです。
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/42654.html
イー・モバイルは、上り速度を向上させた「HSUPA」規格を導入するとともにHSUPA対応の
データ通信端末3機種を発表した。
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/42672.html
HSUPAの導入により、従来の上り最大384kbpsから上り最大1.4Mbpsになると説明し、
11月20日より、まずは主要都市からサービスを展開すると語った。通信料金は、現行の
料金プランがそのまま適用される。
上りの速度が向上することで、動画や画像の共有サービスやWebストレージサービス、
ブログの更新、メール送信などの場面で従来よりも快適な通信が実現するという。
発表会では、数MBのJPEGファイルをWindows Live Messenngerで送信するデモなどが行われた。
http://mobile.seisyun.net/cgi/read.cgi/anchorage/anchorage_bizplus_1225973269
名前:名刺は切らしておりまして mailto:sage [2008/11/06(木) 21:49:10 ID:bKAbqo71]
外で動画中継をやりたいけど、上りの制約があってなかなか実現できなかった。
VGAクラスの映像をストリーミングするには、サーバまで1Mbps程度は必要なんだよね。
ストリーミングしなくても、局でもう一度放送に乗っけてしまうと言うこともできる。
今まで、中継車が必要だった屋外での生中継も、ノートPC+携帯電話でできるようになるかもしれない。
(とは言っても、バッファーの時間が長いので、衛星中継どころではないディレイが生じるけど)
iPhone一台あれば生中継ができるらしいです。
でもiPhoneでの生中継はキャリアの ネットワークに負荷をかけ過ぎるという問題がある ので
実現できるのかな?
でもバスの中からの動画をみていると、日本での映像だし、簡単に生中継できています。
注目の技術ですね。
またイー・モバイルでも動画を快適に送れる環境を提供できるとの事。
個人が移動しながら、動画や生中継の画像を手軽に送れる時代が来そうです。
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/42654.html
イー・モバイルは、上り速度を向上させた「HSUPA」規格を導入するとともにHSUPA対応の
データ通信端末3機種を発表した。
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/42672.html
HSUPAの導入により、従来の上り最大384kbpsから上り最大1.4Mbpsになると説明し、
11月20日より、まずは主要都市からサービスを展開すると語った。通信料金は、現行の
料金プランがそのまま適用される。
上りの速度が向上することで、動画や画像の共有サービスやWebストレージサービス、
ブログの更新、メール送信などの場面で従来よりも快適な通信が実現するという。
発表会では、数MBのJPEGファイルをWindows Live Messenngerで送信するデモなどが行われた。
http://mobile.seisyun.net/cgi/read.cgi/anchorage/anchorage_bizplus_1225973269
名前:名刺は切らしておりまして mailto:sage [2008/11/06(木) 21:49:10 ID:bKAbqo71]
外で動画中継をやりたいけど、上りの制約があってなかなか実現できなかった。
VGAクラスの映像をストリーミングするには、サーバまで1Mbps程度は必要なんだよね。
ストリーミングしなくても、局でもう一度放送に乗っけてしまうと言うこともできる。
今まで、中継車が必要だった屋外での生中継も、ノートPC+携帯電話でできるようになるかもしれない。
(とは言っても、バッファーの時間が長いので、衛星中継どころではないディレイが生じるけど)
2008年11月05日
ニュースを読み上げるソフト
http://crocro.com/pc/soft/radio_browser/
http://www.forest.impress.co.jp/article/2008/05/29/radiobrowser.html
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/07/web-8.html
本ソフトは、Web上のニュースを自動でダウンロードして、ラジオのニュースのように、次々と読み上げるソフトです。
ソフトを起動し[読み上げ開始]ボタンを押せば、自動で読み上げが始まります。
また、[クリップ読み]ボタンを押せば、クリップボード内の文字列を読み上げることができます。
ダウンロードして時々使っています。
発音が少しおかしく、聞き取りにくいけれど、なんとか使えます。
クリップボード内の文字列を読み上げは便利です。
何といっても無料ソフトです!
こんな声で読み上げています。
録画
http://www.forest.impress.co.jp/article/2008/05/29/radiobrowser.html
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/07/web-8.html
本ソフトは、Web上のニュースを自動でダウンロードして、ラジオのニュースのように、次々と読み上げるソフトです。
ソフトを起動し[読み上げ開始]ボタンを押せば、自動で読み上げが始まります。
また、[クリップ読み]ボタンを押せば、クリップボード内の文字列を読み上げることができます。
ダウンロードして時々使っています。
発音が少しおかしく、聞き取りにくいけれど、なんとか使えます。
クリップボード内の文字列を読み上げは便利です。
何といっても無料ソフトです!
こんな声で読み上げています。
録画
2008年11月03日
YouTube再生開始を指定可能に
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/31/21389.html
YouTubeに“ディープリンク”機能、再生開始場面を指定可能に
YouTube上の動画への“ディープリンク”が可能になった。YouTube公式ブログで30日に明らかにした。
これは、紹介したい動画がある場合、動画そのものへのリンクにとどまらず、再生を開始する途中の場面まで指定できるものだ。動画のURLの末尾に、例えば「#t=1m15s」という記述を追加することで、その動画の1分15秒地点から再生するようなリンクを設定できる。分、秒は任意に指定可能だ。
1分15秒後の場合 末尾に 「 #t=1m15s 」とつける
テストしてみました。
SL内のYouTubeテレビには使えないみたい。
元の動画
http://jp.youtube.com/watch?v=o1X9YG5LSPI
落雷5秒前
http://jp.youtube.com/watch?v=o1X9YG5LSPI#t=0m42s
元の動画
http://jp.youtube.com/watch?v=9M_nlNV6FuA&feature=related
倒れる5秒前
http://jp.youtube.com/watch?v=9M_nlNV6FuA&feature=related#t=5m46s
元の動画
http://jp.youtube.com/watch?v=L8vmEIaMOqU&feature=related
直前
http://jp.youtube.com/watch?v=L8vmEIaMOqU&feature=related#t=0m38s
元の動画
http://jp.youtube.com/watch?v=SDgPdNrgUBA
直前
http://jp.youtube.com/watch?v=SDgPdNrgUBA#t=1m09s
元の動画
http://jp.youtube.com/watch?v=KDm9zljyHJ4
上の動画から編集
戦えオスパー http://jp.youtube.com/watch?v=KDm9zljyHJ4#t=7m06s
七色仮面 http://jp.youtube.com/watch?v=KDm9zljyHJ4#t=1m30s
アラーの使者 http://jp.youtube.com/watch?v=KDm9zljyHJ4#t=2m30s
黄金バット http://jp.youtube.com/watch?v=KDm9zljyHJ4#t=3m48s
YouTubeに“ディープリンク”機能、再生開始場面を指定可能に
YouTube上の動画への“ディープリンク”が可能になった。YouTube公式ブログで30日に明らかにした。
これは、紹介したい動画がある場合、動画そのものへのリンクにとどまらず、再生を開始する途中の場面まで指定できるものだ。動画のURLの末尾に、例えば「#t=1m15s」という記述を追加することで、その動画の1分15秒地点から再生するようなリンクを設定できる。分、秒は任意に指定可能だ。
1分15秒後の場合 末尾に 「 #t=1m15s 」とつける
テストしてみました。
SL内のYouTubeテレビには使えないみたい。
元の動画
http://jp.youtube.com/watch?v=o1X9YG5LSPI
落雷5秒前
http://jp.youtube.com/watch?v=o1X9YG5LSPI#t=0m42s
元の動画
http://jp.youtube.com/watch?v=9M_nlNV6FuA&feature=related
倒れる5秒前
http://jp.youtube.com/watch?v=9M_nlNV6FuA&feature=related#t=5m46s
元の動画
http://jp.youtube.com/watch?v=L8vmEIaMOqU&feature=related
直前
http://jp.youtube.com/watch?v=L8vmEIaMOqU&feature=related#t=0m38s
元の動画
http://jp.youtube.com/watch?v=SDgPdNrgUBA
直前
http://jp.youtube.com/watch?v=SDgPdNrgUBA#t=1m09s
元の動画
http://jp.youtube.com/watch?v=KDm9zljyHJ4
上の動画から編集
戦えオスパー http://jp.youtube.com/watch?v=KDm9zljyHJ4#t=7m06s
七色仮面 http://jp.youtube.com/watch?v=KDm9zljyHJ4#t=1m30s
アラーの使者 http://jp.youtube.com/watch?v=KDm9zljyHJ4#t=2m30s
黄金バット http://jp.youtube.com/watch?v=KDm9zljyHJ4#t=3m48s
2008年10月23日
読み上げソフトはすごいな②
ドキュメントトーカーを使うと文字を音声で読み上げてくれる。
無料版はダウンロードすると使えるが、宣伝が読み上げ文の中に挿入される。
声は女性、男性など多種類あり、読み上げスピードも変化させることができる。
http://www.createsystem.co.jp/
アラビヤンナイト 船乗シンドバッド 菊池寛を読み上げてみました。
長いので4度目の航海まで録音しました。(約45分間録音)
フリー版なので宣伝が入ってます。
宣伝がしょっちゅう入るので、大変うっとうしいです。
便利なので、購入しようかどうか迷ってます。
アラビヤンナイト
船乗シンドバッド
菊池寛
バクダッドの町に、ヒンドバッドという、貧乏《びんぼう》な荷かつぎがいました。荷かつぎというのは、鉄道の赤帽《あかぼう》のように、お金をもらって人の荷物を運ぶ人です。
ある暑い日のお昼から、ずいぶん重い荷物をかついで歩いていましたが、しずかな通りへさしかかった時、大そうりっぱな家が立っているのが、目に入りました。ヒンドバッドは、その門のそばで、少し休むことにしました。
その家は、とてもりっぱでした。ヒンドバッドは、まだこんなにりっぱな家を見たことがありませんでした。家のまわりの敷石《しきいし》の上には、香水がまいてありました。
ヒンドバッドの足は、つかれて、熱《あつ》くなっていたものですから、その敷石は大へん気持がようございました。
そして、開いてあるまどからも、何ともいえぬいい香《かお》りが、におってきていました。
ヒンドバッドは、まあ、こんなりっぱな家には、いったい、どんな人が住んでいるのだろうかと思いました。
それで、玄関《げんかん》に立っている番人に、
「これはいったい、どなたの家ですか。」と、聞いてみました。
この番人は、ずいぶん上等の着物を着ていましたが、ヒンドバッドの言葉を聞いて、目をまるくしました。そして、
「まあ、お前さんは、バクダッドに住んでいながら、私のご主人さまの名を、知らないというのかい。船乗のシンドバッドさまといって、世界じゅうを船で乗りまわして、世界じゅうで一番たくさん、ぼうけんをした方じゃないか。」
と、言ったのでした。
ヒンドバッドも、今までたびたび、このふしぎな人の名前と、その人が大したお金持であるといううわさは、聞いていました。それで、ははあなるほどと思って、もう一度、その御殿のような家を見上げました。それからまた、上等の着物を着ている番人を、じろじろ見ていました。そのうち、だんだん悲しくなってきたし、また、ねたましくもなってきました。
「あああ。」ヒンドバッドは、そう、ため息《いき》をついて、荷をかつぎ上げました。そして、天をあおぎながら、ひとりごとを言ったのです。
「まあ、なんて、ここの家の主人と、私とは、ちがうのだろう。まるで、天と地とのちがいだ。ここの家の主人は、毎日々々、お金を使いたいだけ使って、その日その日を楽しく遊ぶよりほかには、何にもすることがないのに、私ときたら、朝から晩まで、せっせと汗《あせ》を流して働いても、やっと、まずいパンを少しぽっちしか、買うことができないんだ。ああ、ああ、まあどうしてこの人は、そんなに仕合せになれたんだろう。そしてまた、私は、どうしてこう、年がら年じゅう貧乏なんだろう。」と。
そして、三十メートルばかり歩いていると、一人の召使《めしつかい》が追っかけて来て、後からヒンドバッドの肩をたたきました。そして、
「家のだんなさまが、お前さんに会いたいから、つれて来いと、おっしゃられた。さあ、ついておいで。」
貧乏な荷かつぎは、びっくりしました。きっと、さっきのひとりごとが、聞えたんだな、と思ったものですから。
けれども、召使は、そんなことにはおかまいなしで、さっさとヒンドバッドを家の中へつれて入り、大広間《おおひろま》へ通しました。
大広間には、大勢のお客さまが、テーブルをかこんで腰《こし》かけていました。テーブルの上には、おいしそうなごちそうが、いっぱいならべてあります。一ばん上座《じょうざ》に、まっ白いひげをはやしたりっぱなおじいさんが、どっしりと腰かけていました。この人がシンドバッドだったのです。
シンドバッドは、びっくりしているヒンドバッドの方を向いて、にこにこしながら、自分のとなりへ来て腰をかけるようにと、手まねきをしました。
そして、ヒンドバッドが腰をかけると、テーブルの上のごちそうを、とってやるようにと、召使に言いつけました。
召使は、ヒンドバッドの前の皿《さら》に、ごちそうをたくさんもり上げ、コップには、上等のお酒をなみなみとつぎました。
ヒンドバッドは、これは、ゆめではないかと、思いはじめました。
ごちそうをたべ終ってから、シンドバッドはヒンドバッドの方を向いて、さっき、まどの外で、何を言っていたのか、と聞きました。
ヒンドバッドは、大そうはずかしくなって、思わずうなだれてしまいました。そして、
「だんなさま、ごめんください。あの時は、大へんくたびれていたものですから、つい、ばかげたことを言って、失礼《しつれい》いたしました。どうぞ、お気におかけくださいませんように。」と、言いました。
シンドバッドは、
「いや、なんで私が、お前さんをとがめたりするもんですかね。私は、お前さんを、ほんとうに気の毒《どく》だと思っていますよ。けれどもお前さん、私が、しじゅうのんきにくらしているのだと、思っちゃあこまります。それからまた、らくらくとこの財産《ざいさん》をつくり上げたと思っても、いけませんよ。これまでになるには、何年も何年も、全く命がけでかせいだからなんです。」と、言いました。
それから、ほかのお客さまの方へ向きなおって、
「そうです、皆さん、私が今までに出あった数々のぼうけんは、どなたにだっておできになることではありません。私がきょうまでにした七へんの航海《こうかい》の話は、まだ一度もお耳に入れたことがありませんでしたが、もしも皆さんが聞きたいとお望みになるのなら、今晩からはじめてもいいと思います。」
と、言いました。
それから召使に、荷かつぎの荷物を、家までとどけてやるように、と言いつけました。
ヒンドバッドは残って、一番はじめの航海の話を聞くことになりました。
一|番《ばん》はじめの航海《こうかい》の話《はなし》
私の父は、かなりたくさんの財産を残して死にました。その時分、私はまだ若かったものですから、それをむだ使いして、も少しですっかりなくするところまでゆきました。しかし、これはうっかりしていると、貧乏人になってしまうぞと、気がついたものですから、急に大決心を起しました。そして、残っているお金をかぞえてみて、商売をすることにきめました。それから私は貿易《ぼうえき》商人の仲間へ入り、船に乗りこむことにしました。次から次と、船がつく港《みなと》で、持って行った品物を売ってお金にしたり、また、あちらの品物ととりかえっこをしようと思ったからです。
まず、私の、一番はじめの航海がはじまりました。
はじめの二三日は、私はだいぶ、船によいました。けれども、やがて、だんだんなれてきて、よわなくなってしまいました。
さて、ある夕方のことでした。風がぴったりとしずまって、船のゆれも、ばったりとまってしまいました。
ちょうどその時、私どもは、青々と草のはえた、平たい小さな島のそばを走っていたのです。その島は、まるで牧場《まきば》のようで、その向うに青々とした海が見えていました。船長はみんなに、この島へ上って、少し休んでもいいと言いました。
私どもは大よろこびで、さっそく、この緑の牧場に上りました。そして、そこらじゅうを歩きまわったり、寝ころんだりしました。中でも、私たち五六人の者は、たき火をして、晩ごはんをこしらえようとしました。
やっと、たき火がもえついた時分でした。船から、大きな声で、
「早く、帰って来ーい。」
と言う声が、聞えました。
私どもが、島だとばかり思っていたのは、ほんとうは、ねむっていた、くじらの背中《せなか》だったのです。
みんなは、波打《なみうち》ぎわへつないでおいたボートをめがけて、いちもくさんに走り出しました。けれども、私がまだボートまで行きつかないうちに、早くも、このくじらは、海の中へもぐってしまったのであります。
私は水の中で、ずいぶんもがきました。そして、やっと板きれにとりつきました。それは、たき火をするために、船から持って来たものでした。
ところが船では、何かごたごたがあって、私のことなんか忘れていたらしいのです。船長は、風が吹き出すと、船を出してしまいました。
私は、波にもまれながら、とうとう、おき去りにされてしまったのであります。
それから一晩じゅう、私は水につかっていました。そして、朝になった頃には、もうへとへとにくたびれてしまって、死ぬよりほかには仕方がないと思っていました。
けれども、ちょうどその時、大へん大きな波がやって来ました。そして、私を持ち上げたかと思うと、ある島のがけの下へ打ち上げました。
うれしいことには、そのがけは、よじのぼることができました。この上は、青々と草のはえた原っぱでした。そこで私は、まず何よりも休みました。
すぐに気分がなおりました。けれども、大そうお腹《なか》がへっていたので、何かたべる物はないかとさがしに出かけました。
少し行くと、おいしそうな果物《くだもの》の木がありました。そのそばに、きれいな水がふき出している泉《いずみ》もありました。
私はそこで、まず食事をすまして、また何かほかにないかと思って、島の奥《おく》の方へ歩いて行きました。
すると、ほどなく牧場に来ました。馬が、あちこちにはなしてあって、みんな草をたべていました。
しばらく、ぼんやり立っていますと、人の話し声が聞えてきました。耳をすましていると、それがどうも、地の下で話しているようなのです。
まもなく、草の間にかくれてあった穴から、ぬうーっと人が一人出て来ました。そして、私を見つけると、お前はだれか、どこから来たのか、とたずねました。
それから、私を穴の中へつれて入りました。穴の中には、仲間らしい人がたくさんいました。そして、自分たちは、この島の王さまの馬がかりで、馬を買いに、この牧場へ来ているのだと言いました。
私に、おいしい食べ物をくれて、
「お前さんは、ほんとうに運《うん》がいい人だよ。もし、あした来たんだったら、もう私たちは帰ってしまっていたからね。道を教えてあげることは、できやしなかったんだよ。」
と、言いました。
あくる朝早く、私たちは出立《しゅったつ》しました。そして都《みやこ》につきました。
王さまは私をよろこんで迎えてくださいました。私が出あったさいなんの話をお聞きになり、
「この者に、不自由をさせないように、気をつけてやれ。」
と、家来《けらい》にお言いつけになりました。
さて、私は、大へん船がすきでしたから、そこにいる間、毎日のように、はとばに出かけて、ボートから荷物をおろすのを、見てくらしました。
ある日のこと、いつものように、あちこちの船につんである、荷物をながめていました時、その中に、私の名を書いたこうり[#「こうり」に傍点]が、たくさんつんであるのを見つけました。それで、すぐに、その船長のところへ行って、そのこうりの持主《もちぬし》はだれです、と聞いてみました。
すると船長は、
「ああ、それはね、バクダッドの商人の、シンドバッドという人のです。その人は、航海に出るとまもなく、むごたらしい死に方をなすったのです。ある時、この船に乗っていた人たちが、ねむっていた大きなくじらの背中を、草のはえている島だと思って、その上に上ったのです。そして、たき火をしました。すると、熱いので、くじらが目をさまして、いきなり海へ沈《しず》んでしまったのです。それで、たくさん人が死にました。その中にシンドバッドさんもいたのです。そういうわけですからね、私はこの品物をすっかり売って、お金にして、あの方の身内《みうち》とか、しんるいとかいう人でもあったら、お渡ししたいと思っているのです。」
と、話したのでありました。
それで私は、
「船長、私がそのシンドバッドです。このこうりは、みんな私のです。」と、言いました。
すると、船長は、急におそろしい顔をして、
「まあ、世の中はゆだんもすきもありゃしない。おい、お前さんが何と言ったってね、私は、ちゃあんとこの目で、シンドバッドが海に沈んだところを見たのだぜ。」
と、どなりつけました。
私は、すぐに、あれから後のことを何もかも船長に話しました。ところへちょうど、船に乗っていた商人たちが出て来て、私をほんとうのシンドバッドだと言ってくれました。
船長は、はじめて、大そうよろこびました。そして、
「すぐに、荷物をお引き取りください。」と、言いました。
私はその中から、なるべく見事なものをえらび出して、王さまにさし上げました。それから、あとの品はみな売りはらって、びゃくだんと、にっけいと、しょうがと、はっかと、丁子香《ちょうじこう》とを買い入れました。
それからもう一度、この船長の船に乗って出かけました。
その帰りみち、私はある島で、持って来た香料《こうりょう》をみんな、大へん高く売ることができました。それで、いよいよバクダッドへ上る時には、一万円の金貨ができていました。
家の者たちは、私が帰って来たので、大へんよろこびました。
それから私は、少しばかりの土地を買って、小ざっぱりした家を立てました。そして、安楽《あんらく》にくらして、こわい目にあったことは、みんな忘れてしまおうとしました。
ここで、シンドバッドは、一番はじめの航海の話を終りました。そして、音楽をはじめるように、また、もっとごちそうを持って来るように、と言いつけました。
さて、それがすんだ時、シンドバッドは、金貨で百円ほどを、ヒンドバッドにくれました。そして、もしも二度めの航海の話が聞きたかったら、あすの晩の、今時分にまたおいで、と言いました。
ヒンドバッドは、大いそぎで、自分の家へ帰って行きました。
皆さん、その夜、まあどんなにヒンドバッドのおかみさんや、子供たちがよろこんだか、お察《さっ》しください。
さて次の晩、ヒンドバッドは、一番いい着物を着て、シンドバッドの家へ行きました。
ゆうべと同じように、大そうなごちそうが出ました。そして、それがすんだ時、
「皆さん。今晩は、二度めの航海の話をしようと思います。これは、ゆうべの話よりか、もっともっとふしぎなことがたくさんあります。」と、シンドバッドが申しました。
二|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
家へ帰って、しばらくの間は、私も楽しくくらしていました。しかし、まもなく、私は、ぶらぶらとその日その日をおくることが、いやになりました。そして、海の上へ乗り出して、波の上をとぶように走ったり、帆づなをびゅうびゅううならせて吹いてゆく、風の音を聞いたりしたくて、たまらなくなりました。
そこで私は、いそいでいろいろの品物を買いあつめ、もう一度、外国へ商売《しょうばい》に出かけることにしました。
それから、つごうのよさそうな船に乗って、大勢の商人たちと一しょに、いよいよ二度めの航海に出かけました。
船は、みちみち、いろんな港につきました。私どもは、そのたんびに、持って来た品物を売って、大そうもうけました。そして、すっかり品物を売りはらってしまってから後のことでした。ある日のこと、私たちは、ある島につきました。
その島は、ほんとうに美しい島でした。エデンの園《その》かと思われるほど、きれいなところでした。たくさんの花が、にじ[#「にじ」に傍点]のように咲きみだれて、じゅくした果物が、おいしそうにふさ[#「ふさ」に傍点]になって、なっていました。
私は、まずこの木の下へどっかりとすわりました。そして、あたりを見まわしました。
そこら一面、見れば見るほど、美しゅうございました。私は、持って来た食べ物をたべたり、お酒を飲んだりしました。それから目をつぶりました。そばを、しずかに流れている、小川の流れの音が、歌のように聞えてきました。そのうちに、ぼーっとしてきて、私はねむってしまいました。
それから、いったい、どれだけ時間がたったのかわかりませんが、ふと目をさますと、一しょに来た人たちは、一人もいなくなっていました。びっくりして、海の方へさがしに行ってみますと、まあ、どうでしょう。船は、とっくに出てしまっているではありませんか。そして、はるか向うまで走って行って、ちょうど白い点を打ったように見えるだけであります。私は、この島におき去りにされてしまったのです。こんなことになるほどなら、どうしてあのまま、家にじっとしていなかったのかと、泣いて残念《ざんねん》がりましたけれど、仕方がありませんでした。
私は、どうにかして島から出て行くことはできないものかと思って、高い木にのぼって、方々を見まわしました。
はじめに海の方を見ました。けれども、海には何にもありませんでした。
それで、こんどは、陸《おか》の方を見ました。すると、島のまん中ほどに、大きな、白い、円《まる》屋根のようなものが見えました。今まで一ぺんも、そんなものを見たことがないので、それが何だか、ちっともわかりませんでした。
私は、ともかく、木からおりました。そして、大いそぎで、その白い円屋根の方へ走って行きました。
しかし、いよいよそばまで行っても、それはかいもく何だかわかりませんでした。ちょうど大きなまり[#「まり」に傍点]のようで、すべすべしていて、とても、よじのぼることなどできませんでした。また、それかといって、中へ入って行こうにも、戸らしいものや、入口らしいものが、一つもありませんでした。どうにもしようがないので、私はただ、ぐるぐるそのまわりをまわっていました。
すると、にわかに空がくもってきて、見る見る夜のように、まっ暗になってしまいました。
それで、おそるおそる空を見上げますと、大きな鳥がまいおりて来て、そのつばさのかげのために、こんなになったのだということがわかりました。鳥は、またたくまにおりて来て、白い円屋根の上へとまりました。
この時、ふと私は思い出したことがありました。それは、水夫たちに聞いていた、ロックという鳥のことです。それで、すべすべした円いまりは、その鳥の卵にちがいないと思いました。
こう思いつくと、すぐに私は、頭にまいていた布をといて、つなを作りました。そして、それを自分の腰のまわりにまわして、両方のはしを、しっかりとロックの足にむすびつけました。
「しめたぞ。この鳥は、今に、とび上るにちがいない。そして、きっと、私をこの島から、つれ出してくれるにちがいない。」私は、こうひとりごとを言って、よろこびました。
はたして、まもなく、私は地から持ち上げられました。そして、雲にとどくかと思うまで高くのぼってしまいました。それからまた、だんだん下へおりてゆきました。そして、地につきました。私は手早く、ずきんの布をときました。そしてロックからはなれました。
ロックにくらべると、私はお話にならないほど、小さいものでした。それでロックは、まるきり私に気がつかなかったらしいのです。ロックはすぐに、そばに寝《ね》ていた大きな黒いものの方へとびかかってゆきました。そして、それを口ばしでくわえて、とび上ってしまいました。
皆さん、それから私が、つくづくと、ほかにもたくさん寝ていた黒いものを見た時、まあ、どんなにおどろいたか、お察しください。それはみんな、黒い大きな蛇《へび》だったのです。
なお、よくよくあたりを見ますと、ここは、岩のかさなりあった、深い谷底でした。どちらを向いても、びょうぶのようにけわしい山が、そびえていました。そして、岩の間には、このおそろしい蛇よりほか何にもいませんでした。
「ああ、こんなことなら、いっそあの島にいた方が、ましだった。わざわざ、もっとひどい目にあうために、この島へ来たようなものだ。」と、私は泣き泣き、ひとりごとを言いました。
そして、じっと岩を見つめていますと、何だか、きらきらとよく光る石が、そこら一面にちらばっているではありませんか。ふしぎだなと思って、ずっとよって見ると、それがみんな、大へん大きなダイヤモンドでありました。ちょうど小石くらいの大きさのものです。私は、とび上るほどよろこびました。
しかし、すぐに、おそろしい蛇が、私にかみつこうとして、ねらっているのに気がつきましたから、そのよろこびはどこへやら、背中にぞっとさむけがたちました。
蛇は、どれもこれも、大そう大きなものでした。象《ぞう》でも、一口にのみそうなものばかりです。昼間はロックがこわいので、じっとしていても、夜になると、のたりのたりとはいまわって、食べ物をさがすのでした。
私は、日がくれないうちに、岩の中の穴を見つけて、その中にしゃがんで、ふるえながら夜のあけるのを待ちました。そして朝になってから、もう一度、谷へ出て行きました。
さて、これからいったい、どうしたらいいのだろうと、じっとすわって考えていますと、ちょうど目の前へ、ころころと大きな生《なま》の肉のきれが、ころがって落ちてきました。それからまた、同じようなのが落ちてきました。そして、次から次と落ちてきて、見る見るもり上ってしまいました。
この時、私はふと、ある旅行家《りょこうか》から聞いた、ダイヤモンド谷の話を思い出しました。それは、毎年わし[#「わし」に傍点]が卵をかえす時分になると、商人たちが、高い山へのぼって行って、生の肉のきれを、谷底をめがけてころがし落すのでした。すると、谷にちらばっているダイヤモンドが、その肉の中へ、はまりこみます。その肉を、わしがひな[#「ひな」に傍点]にやるために、くわえて帰って来るのです。商人たちは、そこを待ちかまえていて、わしを巣《す》から追い出して、肉の中のダイヤモンドをとるという話であります。
やがて、わしがまいさがって来て、肉のきれをくわえて、とび上ってゆきました。それを見ているうちに、ふとある考えが浮かびました。それで、とてもだめだと思ってしょげていた私は、元気を出しました。
そこで、まずあたりをさがしまわって、なるべく大きそうなダイヤモンドを拾って、ポケットにつめこみました。それからまた、肉の一ばん大きなきれを見つけて、それを、あのずきんで作ったつなで、からだへしっかりと、むすびつけました。わしがまたすぐに、えものを取りにおりて来るだろうと思ったからです。それから、肉のきれの下にもぐって、地面の上へねそべりました。そして、どうなることかと、じっと待っていました。
するとまもなく、わしが、すうーっとおりて来ました。そして、私のからだにむすばれてあった肉をつかんで、さっととび上りました。そして、高い高い山の上の、岩の間の巣の中へ、私を落しこみました。
すると、思った通り、すぐに岩の後《うしろ》から人が出て来て、大きな声でわしを追いたてました。わしは、びっくりして、そのままとび去ってしまいました。
この人は、この巣の番をしている商人で、肉の中のダイヤモンドをさがしに来たのでありましたが、私を見て、びっくりして、後へとびのきました。けれども、すぐに、
「お前さんはここで何をしているんだ。ああわかった。ダイヤモンドをぬすみに来たんだな。」
と、おこりつけました。
しかし、私は、落ちついて、
「まあ、お待ちください。私はけっして、どろぼうではありません。私の話をお聞きになったら、きっと私を、気の毒に思ってくださるでしょう。そして、きっとおとがめにはならないでしょう。それから、お望《のぞ》みのダイヤモンドなら、ここに少し持って来ましたから。」と、言いました。
そこへ、ほかの番をしている商人たちもやって来ました。私はみんなに、今までの、あぶない目にあった話をして聞かせました。商人たちは、私の勇気と、そんなあぶない目からうまくのがれたちえとに、びっくりして、ただただ目を見はっているばかりでした。
それから私は、手にいっぱいダイヤモンドをつかみ出しました。そして、みんなに見せました。みんなは、そんなりっぱなダイヤモンドを見たのは、はじめてのようでした。
「さあ、がっかりなさったかわりに、どれか一つお取りください。」
と、どなりつけた商人に言いました。
すると、その人は
「では、この小さいのを一ついただきましょう。」と、言って、きらきら光っている中から、一ばん小さいのを一つ取り出しました。
私は、もっと大きいのをお取りなさい、とすすめましたが、その人は首《くび》をふって、
「これ一つあったら、私がほしいと思った財産をつくることができます。私はもう、こんなあぶない思いをして、ダイヤモンドをさがしには来ますまい。」と、言いました。
それから、みんなで、港をさして出かけました。そして、そこから船に乗って、家へ帰ることにしました。帰りみちでも、いろいろあぶない目にあいました。けれども、ともかく、バクダッドへ帰って来ることができました。
私はダイヤモンドを売って、大へんなお金をもうけました。そして、たくさんのお金を貧乏人にほどこしました。そして前よりも、もっとお金持になって、人からちやほやされるようになりました。
ここで、シンドバッドは話をやめました。そして、また百円、ヒンドバッドにくれました。それからヒンドバッドは家へ帰って行きました。
次の日の晩も、また、お客さまたちはあつまりました。ヒンドバッドも、やっぱりやって来ました。
シンドバッドは、また、あぶない目にあった話をしはじめました。すなわち、三度めの航海の話でありました。
三|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
私は、しばらく家にいて、楽しくくらしているうちに、だんだん、苦しかったことや、こわかったことを、忘れてゆきました。そしてまた、新しいぼうけんがしてみたくなりました。それに、まだ私は、家でしずかにして、ぶらぶらくらしている年ではない、と思いました。それでこの前の時のように、品物を買いあつめて、商売の旅《たび》に出ました。
商売は、どの港でも、大へんつごうよくゆきました。品物がどんどん売れてゆきました。そして、こんどこそは、ひどい目にもあわないですみそうだと思っているやさき、ある日、大あらしがやって来ました。
船は、すっかり方向がわからなくなってしまって、船長でさえも、風下《かざしも》のある島のかげへ来るまでは、どこをどう進んでいるのか、かいもくわからないというほどでした。
仕方がないので、私どもはともかくも、その島のかげで、あらしをよけるために、いかりをおろしました。
けれども、船長が、この島をつくづくと見た時、急にかみの毛を引きむしって、
「しまった、ここは猿《さる》の山にちがいない。」と、さけんだのであります。
それから船長は、この島へ来て、生きて帰った者はないのだ、という話をしました。なぜかというと、この島には、人よりも猿によくにたものがたくさん住んでいて、おまけに大そう、けんかずきだというのです。
船長のこの話が終らないうちに、もう小さなやつが大勢、海岸へ出て来たかと思うと、船をめがけて、ぽちゃぽちゃと泳《およ》いで来はじめました。
それが近づいて来た時、よくよく見ると、一寸|法師《ぼうし》のようで、猿よりもにくらしいのです。そして、からだじゅうに赤い毛が、ぎっしりはえていました。
やがて船に泳ぎつくと、みんなして船を海岸へ引っぱって行きました。そして、私どもを陸《おか》に追い上げて、こんどは自分たちばかりが船に乗って、ほかの島をさして、こいで行きました。
私どもは、こわごわ、そこらじゅうを歩いてみました。そして、果物や木の根を見つけて、たべました。
夕方になってから、向うに高い御殿が立っているのが、見つかりました。それで、そこにかくれるところがあるかもしれないと思って、行ってみることにしました。
御殿には、こくたんの大きな戸が閉まっていました。おすと、すぐに開きました。私どもは、中庭へ入って行きました。だれもいないで、ひっそりとしていました。
しかし、しばらく見まわっているうちに、骨《ほね》を小山のようにつみかさねてあるところへ来ました。そこには、物を焼く時に使うかなぐしが、いっぱいちらばっていました。
わけがわからないものですから、私たちは、だいぶ長い間、じっとそれを見ていました。すると、太い、雷《かみなり》のような音が聞えてきました。みんなが、その方をふり向くと、ちょうど、こくたんの戸がそろそろと開きかかっているところでした。そして、くれない[#「くれない」に傍点]と金をまぜたような夕やけの空の中に、ぬうーっとあらわれたのは、おそろしい大入道《おおにゅうどう》でした。
その大入道は、松やにのようにまっ黒な色をしていて、しゅろの木のように背が高いのです。ひたいのまん中に、一つ、まっ赤《か》な目がありました。それはちょうど、石炭がもえている時のように、ぎらぎら光っていました。口は、まっ暗な井戸のようで、くちびるは、らくだのように胸までぶらさがっていました。そして、耳は象のように大きくて、肩のへんまでたれていました。また爪《つめ》は、わしのようにとがっていました。
私どもは、この大入道を一目見るやいなや、気をうしなって、そのままそこにたおれてしまいました。
やがて、息《いき》をふき返してみると、大入道は、私たちを一人ずつ、つまみ上げて、そのまっ赤な目で、ていねいにしらべているところでした。
すぐに私がつまみ上げられました。私は、高いところで、ぶらんぶらんしていました。大入道は、ぐるぐる私をまわしながら、からだの方々をつねってみるのです。太っているかどうか、こうしてしらべるのです。やがて、私が骨と皮ばっかりにやせているのがわかると、下へぽーんと投げました。それから、また、仲間の一人をつまみ上げました。この人も、くるくるまわされたり、つねられたりして、苦しそうでした。その次には船長をつまみ上げました。この人は、みんなの中では、一ばん太っている人です。大入道は、にやりと笑って、船長をかなぐしに、ぷすりとさしこみました。そして焼きはじめました。
それから船長を、夕ごはんにしてたべてしまうと、ぐうぐうねむりはじめました。そのいびき[#「いびき」に傍点]は、一晩じゅう、雷がごろごろ鳴りひびいているようでした。
そして朝になると、私たちには目もくれないで、さっさと出かけて行きました。
すぐに、私どもは、よりあつまって、自分たちの不運《ふうん》を悲しみあいました。そして、どこかほかに、かくれ場をさがそうと思って、御殿を出て行きました。
しかし、島じゅうどこにも、そんなところはありませんでした。
夜になって、仕方なく、また御殿へ帰って来ました。
すると、まもなく大入道も、外から帰って来て、また仲間の一人をつかまえて、きのうの船長と同じようにして、たべてしまいました。
次の朝、大入道が出かけて行った後、私どももやっぱり、出かけました。こんどは、もう一度この御殿へ、たべられに帰って来るくらいなら、いっそ海へ身を投げて、死ぬ決心《けっしん》でした。
それから、方々さがしても、やっぱりどこにも、かくれ場はありませんでした。そして、出るともなく海岸へ出てしまいました。すると、仲間の一人が、
「私たちは、もう神さまに見はなされてしまったのです。あんなにして、一人々々殺されてゆくよりも、いっそ、みんな一しょに死んでしまおうじゃありませんか。」
と、言いました。
「なるほど、それももっともです。しかしまあ皆さん、私の考えも、ひとつお聞きください。」
と、私はそれに答えてから、口をきりました。それから、
「このあたりに流れついている流木《りゅうぼく》を拾って、いかだを作りましょう。そして、もしもあの大入道を殺すことができなかったら、それに乗って、にげたらよいじゃありませんか。いかがです。」
と、相談してみました。
すると、みんなこの話に、さんせいしてくれました。そして、夕方までにいかだを作り上げて、海岸につないでおきました。
さて、それから、帰りたくもない御殿へ、いやいやながら帰って行きました。きっと今晩も、だれかが殺されて、たべられてしまうにきまっていましたが。
大入道は、また一人を、いつものように夕ごはんにしてたべると、大いびきで寝てしまいました。そこで私どもは、しずかに、大きなかなぐしを二つ、取り上げました。そして、かっかっと石炭がもえている中へ、つっこみました。そして、それがまっ赤になるのを待って、こっそりと大入道の寝ているそばへ、近よって行きました。それから、みんなで力をあわせて、そのかなぐしを、大入道の目の中へつきさしました。
大入道は、おそろしいうなり声を立てて、痛《いた》いのと、腹が立つのとで、とび起きました。そして、うでをのばして、私どもをつかまえようとしました。けれども、もうめくらになっているものですから、私どもはうまくにげまわって、すみの方にうつぶしになっていました。それで、とうとう一人も、つかまえられませんでした。
大入道は、わあわあ泣きながら、やっと、こくたんの戸のところまで行きました。そして、手さぐりで戸をあけて、まっ暗なやみの中へ消えていってしまいました。その泣き声が、いつまでもいつまでも、夜の空にごーごーと鳴りひびいていました。
私どもはすぐに、いかだをつないであった海岸をさして、走って行きました。そして、そこで、大入道が死んでしまったのか、まだ生きているのかわかるまで、待つことにしました。
けれども、やっぱり、私たちは運が悪かったのです。夜があけてゆくにしたがって、雷のような足音が聞えてきはじめました。それは、おこったあの大入道が、仲間を二人つれて来る足音でした。二人とも、さっきの大入道にまけずおとらずの、おそろしく背の高いやつでした。
私どもは、それを見るやいなや、大いそぎでいかだに乗りました。そして、沖《おき》へ向ってこぎ出しました。
すると、大入道たちは、岩を拾っては、いかだをめがけて、投げはじめました。そのため、私のいかだよりほかのいかだは、みんな海に沈んでしまいました。
私のいかだには、ほかに二人の仲間が乗っていましたが、三人とも、どうしてもここからにげたいと思いました。それで、あるかぎりの力を出して、こぎました。それで、まもなく、ほかの島へつくことができたのです。
この島には、大そうおいしい果物がありました。私どもは、たべたり、休んだりして、しばらくつかれをなおしていました。
するとにわかに、ざーざーと、おそろしいひびきが聞えてきました。そして私どもは、何だか急に気分が悪くなってしまいました。仕方がないので、じっとしていますと、とても大きな蛇が、ぬうーっとはいよって来ました。そして、あっというまに、仲間の一人をのんでしまいました。
「ああ、やっと一つのがれたと思えば、こんどは前よりも、もっと悪いことがやってくる。ほんとうに、どうしたらここからにげて行くことができるのだろう。」
と言って、私たちはなげきました。
それでも、助かった二人は、走りつづけて、やっと高い木の下まで来ました。そして、大いそぎで、その木へのぼりました。
その木には、運よくも、果物がなっていました。そこで二人は、まずお腹《なか》をこしらえました。
その夜、私は、一ばん高い枝にのぼっていましたが、また蛇のざーざーいう音で目をさましました。すると、どうでしょう、蛇は、木にぐるぐるとまきついて、今にも、たった一人の私の仲間を、のもうとしているのです。そして、あっというまもなく、また大きな口をあけて、ぺろりとのみこんでしまいました。
「ああ、こうなっちゃ、もうどうしたってだめだ。晩にのまれるのを、じっと待っているよりも、いっそ、がけの上から、海へとびこんで死んでしまおう。」
こう、私はひとりごとを言いました。
けれども、海べまで来てみますと、そんなことをするのは、あんまりいくじがなさすぎると考えたのであります。
そこでまた、引き返してきて、木の枝だの、あし[#「あし」に傍点]だの、いばら[#「いばら」に傍点]だのを、できるかぎりあつめました。そして、それをたばにして、しっかりとゆわえ、それでもって、木の下に円い小屋のようなものを立てました。そして、そのてっぺんを、かたくかたくむすびあわせて、どこにも蛇が入って来るすきまがないように、ていねいに作り上げました。
さて、その晩も、おそろしいざーざーいう音が聞えてきました。けれども、蛇はただ、小屋のまわりを、ぐるぐるとすべりまわっているだけでした。私は、おそろしさのあまり、死んだ人のようになって、ふるえながら夜をあかしました。
こうしてまた、私は助かりました。そして、海べへ出て行きました。こんどこそは、もう身を投げて死のうと、きめて行ったのです。あんなおそろしい目にあうのは、とてもがまんができないと思ったものですから。
しかし、ありがたいことには、海べに立って、沖の方をながめていますと、一そうの白帆《しらほ》の、こちらへ近づいて来るのが見えました。
私はずきんをとって、むちゅうになってふりまわしました。するとまあ、なんてうれしいことでしょう、その船からはボートをおろしました。私を助けに来るのです。
まもなく、私はその船に乗ることができました。そして、いっさいの話をしました。だれもかれも、私をかわいそうに思って、大そうしんせつにしてくれました。そして、新しい着物を出してきて、
「そのぼろぼろになった着物と、お着かえなさい。」と、言ってくれる人もありました。そのほか、いろんなことをして、私をなぐさめてくれました。
そんなにして、航海をつづけているうちに、びゃくだんの木が、いっぱいはえている島へつきました。そこで、いかりをおろして、商人たちは島の人たちと取引をするために、陸《おか》へ上ってゆきました。
そのあとで、船長が私を呼んで言うには、
「じつは、少しお願いしたいことがあるのですが、聞いてくださいませんでしょうか。ほかでもありません。まあ、このたくさんの荷物を見てください。これはみんな、この船に乗っていたバクダッドの商人のものなのですが、気の毒なことには、その人を、ある島へ、おき去りにしてしまったのです。それで私は、この荷物をみんな売りはらって、そのお金を、その商人の家の人にあげたいと思っているのですが、あなた、これを陸へ持って上って、売ってくださいませんでしょうか。もちろん、分《わ》け前《まえ》はさし上げるつもりなんですが。」とのことなのです。
そこで、私は、
「それは、けっこうなお考えです。だが、その商人の名前は、何というのでしたか。」
と、聞いてみました。すると、船長は、
「シンドバッドというのです。」と、答えたではありませんか。
私は、こうり[#「こうり」に傍点]についている、私の名前をしらべてみました。それから、船長に、
「その人は、ほんとうに死んだのですか。」と、聞きました。
船長は、
「それが気の毒なんです。とてもあの島では、助かっている見こみはありません。」
と、答えました。そこで、私は船長の手をとって、
「船長、私の顔をよーっくごらんください。あなたはこの顔に、おぼえはありませんか。私こそそのシンドバッドです。あのロックの島にとり残された、シンドバッドです。」
と、言いました。そして船長に、いろいろこわい目にあった話をして聞かせました。そのうちにだんだん、私がシンドバッドだということが、わかってきました。そして、大よろこびで品物をみんなと、今までにほかの島で私の品物を売ってもうけたお金とを、私に渡してくれました。
それからまもなく、私たちはバクダッドにつきました。私は、こんどの商売では、とてもかぞえきれないほど、お金をもうけていました。それで、もっと土地を買って、またたくさんのお金を貧民どもにほどこしました。そしてまもなく、あぶなかったことや、苦しかったことを、みんな忘れてしまいました。
そこで、三度めの航海の話は終りました。
シンドバッドは、また、ヒンドバッドに百円やるようにと、召使に言いつけました。
それからまた、ヒンドバッドは、第四航海の話を聞きに来ました。
四|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
三度めの航海の後は、私は大へんゆたかに、仕合せにくらしていました。しかし、皆さん、あきれてはいけません。また私は、ただお金持で、ぼんやり家にいるのでは、どうも満足《まんぞく》ができなくなりました。旅をして、いろいろのぼうけんをしたいと思う心が、おさえても、おさえても、どうしてもやみませんでした。
私は、また、商品を買いあつめました。そして、仲間の商人と一しょに船に乗って、外国の港をさして、出かけました。
船は、いろいろの港につきました。私どもは、それぞれお金もうけをしました。
ところがある日、大あらしがやって来たのです。そして、船長でさえも、船をどうすることもできなくなってしまいました。
帆《ほ》は風のためにぼろぼろにちぎられて、まるでリボンのようになってしまいました。波は、何べんも何べんも、かんぱんの上をあらって、そのうちに船は、とうとう沈みはじめました。
乗組員と、お客さまの大部分は、おぼれてしまいました。しかし、私ども二三人は、やっと板きれに、とりつくことができたのです。そして、一晩じゅう、おそろしい思いをしながら、波にただよっているうちに、ある島へ流れつきました。
「生きているより、死んだ方がましだった。」
そう思いながら、夜があけるまで、海岸にたおれていました。
やがて、朝になってから、何かたべるものがほしくなったので、島の奥《おく》の方へ歩いて行きました。大して歩きもしないうちに、まっ黒な、やばん人《じん》のむれに行きあいました。
このやばん人どもは、すぐに私たちをとりまいて、自分らの小屋の方へ、引っぱって行きました。そして、まずはじめに、食べ物をくれました。私の仲間は、それをがつがついってたべました。けれども私は、もともと用心ぶかいたちですから、たべるふうだけしておきました。なぜかと言いますと、どうもこのやばん人どもは、人間の肉をたべているらしく思われたからです。
でも、ほんとうに、たべないでよかったのです。私の仲間は、食べ物をのみこむと、まもなく気をうしなってしまいました。そして、やがて気がついた時は、もうすっかり気ちがいになっていました。
これはどう見ても、やばん人どもが、何かたくらんでいるのにちがいないと思いました。
その次にまた、ごはんの上にやし[#「やし」に傍点]の油をどっさりかけて、持って来ました。この時は、
「はーあ、こうして、みんなを太らせておいてから、たべるんだな。」と、わかりました。
それとともに、私は大そうこわくなりました。それからは、いよいよ何にもたべませんでした。それで、大へんやせてしまいました。だれだって、殺してたべようとは思わないほどに、なってしまいました。
さて、ある日、年とったやばん人が、ただ一人、番をしているきりで、みんな出て行ってしまったことがありました。それで、私はやすやすとぬけ出すことができました。
私は、できるかぎり大いそぎで、森の中へ走って行きました。そしてそこで、七日ほどすごしました。
しかし、やがてまた走り出て、とうとう島のはんたいのかわへ行きつきました。
そこには、西洋人たちが、こしょうを取りに来ていました。そして私を見て、大へんびっくりしました。それから私の話を聞いて、なおなお、おどろいてしまいました。
「あのやばん人どもは、だれだって見つかりしだい、殺してたべてしまうのです。無事《ぶじ》ににげ出して来たのは、きっとあなた一人でしょう。」と、言いました。
それから私を、自分たちの船に乗せて、その国へつれて行きました。そして、王さまのお目通りへ、つれて出ました。
それから、みんなは、なかなかしんせつにしてくれました。
王さまも、とくべつにお取立てくださって、高い位《くらい》につけてくださいました。
さて、その島は、大へんお金のたくさんある島でした。そして、都《みやこ》では、さかんに商売が行われていました。私も、すぐに仕合せになって、満足していました。
しかし、この島で、おどろいたことには、だれもかれも、馬によく乗るのですけれど、くらやあぶみや、たづなを使う者がないのです。それで、ある日、私は王さまに、
「陛下《へいか》、なぜ、この国では、くらをつける人がないのでございますか。」
と、うかがってみました。
すると王さまは、ふしぎそうな顔をなすって、
「何を言ってるのかね。わしはまだ、そんな言葉を聞いたことがないよ。」
と、おっしゃったのです。
そこで私は、なめし皮を作る職人《しょくにん》の中から、りこうそうなのを一人つれて来て、りっぱなくらを作ることを教えました。そして、私もまた、あぶみだの、はくしゃだの、たづなだのを作りました。そして、これらがみんな出来上ってから、そろえて王さまにさし上げました。そして、どういうふうに使うということもお教えしました。
すると、すぐに王さまは、それをお使いになって、大そうおよろこびになりました。
また、それを見て、身分の高い人たちは、だれもかれもほしがりました。それで、私はまた、みんなに作ってやりました。
さて、そのうちに、私は、この島でも指おりの金持になってゆきました。
王さまは、とうとう私に、この島の美しい娘と結婚《けっこん》をして、この島の人間になってしまうように、とおっしゃいました。
私は、その美しい娘というのを見ました。すると、王さまのご命令通りにしたくなりました。それから二人は、一しょに仲よくくらしてゆきました。私は、そろそろバクダッドのことを忘れはじめました。
しかし、ある日のことでした。大へんなことが起ってしまいました。というのは、私がふだん仲よくしていた、近所のおかみさんが死んだのです。大へん気の毒に思ったものですから、すぐおくやみに行きました。そして、
「あんまりくよくよなさらないように。おかみさんはああして、早くおなくなりなすっても、そのかわりにあなたが、長生きがおできになりましょうよ。」と、言いました。
その人は、うつむいたまま、じっと私の言うのを聞いていましたが、やがて、
「よしてください。どうして、あなたは、私がこれから長生きができるなんて、おっしゃるのです。私はもう二三時間したら、家内《かない》と一しょに、うずめられてしまう身じゃありませんか。……ああ、あなたはまだ、この国のおきて[#「おきて」に傍点]をご存じなかったのですね。ここでは、妻《つま》が死んだら、夫はそれと一しょにうずめられるのです。そしてもし、夫の方が先に死ねば、妻がそれと一しょにうずめられるのです。」
と、言うではありませんか。
「まあ、なんておそろしいことだろう。そんなことは、とてもほんとうとは思われない。」
私は、それを聞いて、こうさけびました。
それから、王さまに、このことをうかがいました。すると王さまは、ただそれは、この国のおきてなんだから、そうされるのだ、とおっしゃったきりでした。
それから、だれに聞いても、これをふしぎに思っている人はありませんでした。
まあなんてこわいことだろう、なんていやなことだろう、と思っているうちに、とうとうそれが、私の身の上にふりかかってきました。ある日のこと、私の妻が、病気になったのです。そして、わずかのわずらいの後、とうとう死んでしまったのです。
すると、町の人がやって来て、妻に一番いい着物を着せました。そして、髪《かみ》には宝石をかざりました。それから、高い山の上へ運んで行きました。
山の上には、石が一つおいてありました。その石を持ち上げると、下は深い深い穴になっていました。そしてその中へ、私の妻は落されてしまいました。
私は、どうか助けてくださいと、ずいぶんたのみました。しかし、だれも、私が何を言っているのか、聞こうともしませんでした。せっせと、小さいパンを七つと、水さしにいっぱいの水とを用意していました。そして、それを私に持たせて、穴の中へつき落し、石のふたをしてしまいました。
私はたった一人、暗い穴の中に、とじこめられてしまったのです。しばらくの間は、泣くにも泣かれませんでした。
それから七日の間は、ともかくも、少しながらもパンと水がありましたから、生きていることができました。しかし、それもとうとうなくなってしまった時、私は、いよいよ死ぬのだなと思いました。
その時、急に、ほら穴の向うがわに、何か生きた物がとびこんで来たのが、目に入りました。そして、その小さな、ねずみ色をしたものが、私の前をぴょんととんで行きました。
私は、はっと立ち上りました。そして、そのあとを追いました。すると、まもなくそれが、岩のわれ目の中へ入って行きました。私もまた、思いきって、その中へとびこみました。中は大へん、きゅうくつでした。おしつぶされるような思いをしながら、なおもそのあとをつけて行きました。そして、これは、ずいぶん来たもんだな、と思った時でした。気持のいい海の風が、熱《あつ》くなっていた私のほおに、さっと吹いてきたのです。まもなく私は、ほら穴からぬけ出すことができました。そこは、青々とした空の下の海べでした。
私がついて来た、小さなけものは、きっと、この道から入ったのでしょう。それで、出る時、私に道|案内《あんない》をしてくれたようなものでした。
それからまた、私は勇気を起して、もと来た道へ引き返しました。そして、ほら穴の中にちらばっていた、宝石を拾いあつめ、それを、こうりにつめて、また海べへ出て来ました。そして船が来るのを待つことにしました。
一日じゅう私は、じっと沖を見つめていました。
やっと次の朝になって、うれしや、とうとう一そうの船を見つめることができました。私は、さっそく、ずきんをといてふりました。それから、大きな声で呼びました。すると、まもなく、ボートがおろされて、私の方へこいで来ました。
「どうして、こんなところへ、いらっしゃったのです。私たちはまだ、ここの海岸に人がいたのを、見たことがありませんよ。」
と、ボートの水夫たちが言いました。
その時、私はどうしても、墓穴《はかあな》から出て来たのだとは、言うことができませんでした。もしも、もとのところへつれ返されたら、大へんだと思ったものですから。……それで、
「二三日前、難船《なんせん》して、やっと、このこうりだけ持って上ったのです。」と、言っておきました。
つごうのいいことには、水夫たちは、もう何にも問いませんでした。そして、すぐにボートをこぎ出して、私を本船へつれて行ってくれました。
こんなふうにして、また無事に帰って来ました。もちろん、前よりも一そう金持になりました。そして、あんなおそろしい目にあっても、助かったとは、まあなんてありがたいことだろう、と思ったのであります。
ここで、シンドバッドはやめました。そして、ヒンドバッドは、また百円もらい、またあすの晩も来るように、その時は五度めの航海の話をするから、と言われました。
五|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
さあ、これから、五度めの航海の話をはじめようと思います。(あくる晩、みんながテーブルのまわりに腰をかけた時、シンドバッドは、こう口をきりました。)
ご存じのように、今まで、ずいぶんひどい目にあっていながら、私のぼうけんずきは、やっぱりやみませんでした。家の中にじっとしていることがじれったくて、またまた、海へ行きたくてたまらなくなりました。
そして、こんどは、ひとの船に乗らないで、自分の船を作りました。そうすれば、どこへだって、行きたいと思うところへ行けますし、したがって、したいと思うことをやって、商売ができるわけです。
さてこの船は、かなり大きゅうございましたので、ほかに五六人の商人も乗りこんでもらいました。そしてまた、海へ乗り出しました。
それから、五つ六つの港へつきました。商売は、とんとんびょうしにはこびました。
するうち、ある日のこと、ふしぎな白い円屋根のある、沙漠《さばく》のような島へ来ました。私はすぐに、ははあ、ロックの卵だなと思いました。しかし、ほかの人は、まだ、だれも見たことがないというのです。そして、ぜひ見てゆきたいから、上らせてくれというのです。仕方がないので、ゆるしました。
その人たちは、近づいて行って、ふしぎそうに見ていました。ちょうどその時は、ロックのひな[#「ひな」に傍点]が今にもかえりそうになっていた時で、少し口ばしで、からを破ろうとしておりました。
すると商人たちは、私がとめるのも聞かないで、この卵をこわしてしまいました。そして、ひなのロックを引き出して、りょうりをしはじめました。私は、そんなことをすると、きっとあとでこわい目にあうにちがいないから、およしなさい、およしなさい、と言ってとめました。しかし商人たちは、かまわずどんどん、いろんなごちそうに作っていました。
すると、それからすぐでした。急に空がまっ暗になって、あのロックの大きな黒いつばさが、私どもの頭の上へおおいかぶさってきました。
私たちは命からがら船へ帰りました。船長は、さっそく船を出しました。親鳥が大へんおこっているということが、わかりましたから。
おそろしい大きな鳥は、すぐに海の上へ追っかけて来ました。空は見る見るまっ暗になってしまいました。見上げると、大きなつばさがぴゅーんぴゅーんと風をきっています。とがった爪の間には、大きな石を、いくつもいくつも持っていました。それは石というよりも、岩と言いたいくらい大きなものです。
船のま上へ来た時、持っていた石を一つ落しました。石はびゅーっとうなりを立てて落ちて来ました。さいわい、それは船にはあたりませんでした。すぐ近くの海がまっ二つにさけて、船のまわりには、海の底《そこ》の砂のまじった波が、まるでかべのように立ち上りました。
やれうれしやと思って、上を見上げると、まあどうしましょう、もう一羽、ロックがやって来ているのです。そして、しっかりとねらいを定めて、今にも石を落そうとしているのです。
ああ、とうとう船はだめでした。みじんにくだかれてしまいました。つぶされて死ななかったものは、海の中へほうり出されて、波のまにまに沈んでゆきました。
しかし、運のいいことには、私は、浮いていた板にとりつくことができました。そして、足をぶらぶらさせているうち、ある島へつきました。
ほんとうに全く、この島にこそは、私はおどろいてしまいました。きっと、世界で一ばん美しい島だろうと思います。
今まで、たべたこともないような、おいしい果物や、それはそれは美しい花が、そこら一面にあって、きれいな小川が、さらさらと流れていました。
私は、これまでのおそろしさも、つかれも忘れてしまって、凉しい木《こ》かげに休みました。
あくる朝、散歩《さんぽ》かたがた、果物を取りに出かけました。そして、何だかあわれに見えるおじいさんが、小川のつつみに、じっとすわっているのに会いました。その人は、大そう年をとっているらしいのです。そして、さもさも弱っているようでした。私は大へんかわいそうになってしまいました。それで、
「もしもし、ここで何をしていらっしゃるのですか。難船《なんせん》でもなすったのですか。」
と、聞いてみました。
けれども、そのおじいさんは、悲しそうに首をふっただけでした。そして、この小川を渡らせてくれと、手まねでたのみました。
私は、きげんよく、よろしいと言って、しゃがんで、その人を肩ぐるまにのせました。おじいさんは、思ったよりも重うございました。
私は小川を渡りました。それから、その人をおろそうとしました。するとどうでしょう、おじいさんは、おりようとはしないで、両方の足でますます私の首を強くしめていくのです。私は息《いき》ができなくなりました。そしてとうとう、あっと言ったきり気をうしなってしまいました。
それからしばらくして、気がつきましたけれど、やっぱりおじいさんは、私の肩にまたがっていました。そして、やせてとがったそのひざで、私をうんうんつきはじめました。それがとても痛いのです。私はたまらなくなって、起きて、また歩きはじめました。そして、その人が行けという方へ行くよりほか、どうにもしようがありませんでした。
それよりは、毎日々々、口では言えないほどの苦しみをしました。一分間も、へんなおじいさんは、私の肩からおりようとしないのです。私が寝ている時でも、そうなのです。そして、はじめのように、とがったひざで、うんうん私をついては、おっ立ててゆくのです。そして、自分はしょっちゅう、果物を取ってたべているのです。私も、もとより取ってたべました。そうしなければ、お腹《なか》がすいて、死んでしまいそうですからね。
さて、ある日のこと、私どもは、大へんたくさんひょうたん[#「ひょうたん」に傍点]がなっているところへ来ました。そして、そのうちにたった一つ、中がからになって、ひぼしになっているひょうたんがありました。私はそれをとって、その中へ、ぶどうの汁《しる》をしぼりこみました。そして、日のよくあたりそうなところへ、ぶらさげておきました。
それからまた、あちらこちらと歩きまわって、四五日たってから、ひょうたんのところへ行ってみますと、どうでしょう、おいしいおいしい、ぶどう酒《しゅ》ができているではありませんか。
私は、大よろこびで、ぎゅうぎゅう飲みました。すると、急に元気が出てきて、何だかうれしくなりました。そして、思わず歌をうたったり、おどったりしました。
肩にいたおじいさんは、びっくりしてしまいました。そして、手まねで、自分にも飲ませてくれ、と言いました。私は仕方がないので、ひょうたんを渡しました。
そのひょうたんは、大へん大きなものでした。それで、お酒もずいぶん入っていたわけです。おじいさんは、それを一しずくも残さないまで、飲んでしまいました。それから、へんな声で、何かしゃべりはじめました。そして、しだいに、足をゆるめてゆきました。
私は、この時とばかり、うんと力をこめて、おじいさんを、地面の上へほうり出しました。おじいさんは、投げ出されたまんま、起き上ろうともしませんでした。
私は、やっと重荷《おもに》をおろして、せいせいしました。そして、にこにこしながら、海べの方へ歩いて行きました。
ちょうど海べには、五六人の水夫が、たるを持って、水をくみに上って来たところでした。私を見て目をまるくしながら、
「お前さん、こんな島へ、何をしに来たんだね。」こうたずねました。
私は、船がこわれてからの、いちぶしじゅうを話しました。すると、その人たちは、ますますおどろいてしまいました。そして、
「そんなあぶない目にあっても、助かったなんて、まあ、なんてお前さんは、運のいい人なんだろう。だが、その肩にのっかってたというおじいさんはね、海じじいと言って、そいつにつかまったが最後、助かりっこはないんだよ。」
と、言いました。それから、私を船へつれて行きました。
そのうち、船は大きな港につきました。その港の町の家は、みんな石で作ってありました。
そこで、今まで大へんしんせつにしてくれた一人の商人が、私に、みんなと一しょに、やしの実を取りに行かないか、とすすめました。そして、
「これをお持ちなさい。」と言って、大きな袋《ふくろ》を渡しました。それから、
「けっして、みんなにはぐれて、かってなところへ行っちゃいけませんよ。みんながするようにするんですよ。」と、言いました。
さて、それから私たちは、ずいぶん遠い、やしの木の森へ行きました。
やしの木は、大そう背が高くて、まっすぐで、おまけに幹《みき》がすべすべしていました。私は、これでは、とてものぼれないだろうと思いました。そして、いったいどうして、実をとるのだろうかと、待っていました。
それから、みんなは、うんとやしの木のそばへ近づきました。その時、私は、木の枝に、猿《さる》がたくさんのぼっているのに、気がつきました。そして、その猿は、私たちを見つけるが早いか、ぐんぐん上の方へのぼってゆきました。すると、みんなは一せいに、この猿に向って、石を拾っては投げ、拾っては投げはじめました。
私は、ずいぶんひどいことをすると思いました。それで、
「どうして、そんなことをするんです。猿は何にも、悪いことなんか、しやしないじゃありませんか。」と、聞きました。
しかし、すぐに、そのわけがわかりました。猿が、やしの実をもいで、どんどん、こちらへ投げはじめましたから。
私たちは、大いそぎで、そのやしの実を拾って、袋へ入れました。それから、またまた石を投げました。すると、猿も、ますます、やしの実を投げてよこしました。
みんなの袋がいっぱいになってから、町へ帰りました。そして商人に売りました。
私は、それからまもなく、バクダッドへ帰って来ました。帰りみち、方々の島へよって、はっかだの、きゃらの木だの、真珠《しんじゅ》だのを買いあつめました。
そして、家へ帰ってから、それらの品々を売りました。すると、どうして使っていいかわからないほど、たくさんのお金が、手に入りました。
ここで、シンドバッドは、ごちそうを持って来るようにと、言いつけました。そして、ヒンドバッドが家へ帰る前に、また百円やるようにとも言いました。召使はその通りにしました。
次の夜、たくさんのお客さまと、荷かつぎのヒンドバッドとが、いつものところへ腰をかけた時、シンドバッドは、六度めの航海の話をはじめました。
六|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
こんどは、まる一年家にいました。その間、また航海に出るしたくをしていました。友達《ともだち》や、しんるいの者たちは、行かせまいとして、いろんなことを言って、引きとめにかかりましたが、私はどうしても、しょうちしませんでした。
まもなく、こんどは、うんと長い航海をするつもりで、出かけました。
けれども、この航海は、はじめから、つごうよくゆきませんでした。すぐに、ひどい大あらしにあって、風のまにまに、あちらこちらと流されたあげく、とうとう、船長も、水先《みずさき》案内も、どこをどう走っているのか、だんだん、たよりなくなってゆくばかりでした。
すると、ある時のこと、にわかに船長が、ずきんをぬぎ捨てたかと思うと、ぐんぐんかみの毛を引きむしって、気ちがいのようになってしまいました。
みんなは、びっくりして、ばらばらっと、船長のそばへかけよって行きました。
「どうしたんです、どうしたんです。気をしっかり持ってください。」と、てんでに言いました。
すると船長は、
「もうだめです、もうだめです。船は、あぶない潮《しお》の流れの中へ入ってしまいました。もう二三分したら、何もかも、みじんにくだけてしまうでしょう。」と、言ったのでした。
全くでした。船長の言葉が終るか終らないうちに、船は、きみわるく、すうーっと走り出したかと思うと、見る見る、けわしい山のすその、岩の折れかさなった海岸へ、どんとつきあたってしまいました。そして、粉《こな》みじんになってしまいました。
けれども、みんな、ふしぎに助かりまして、つんでいた荷物と、少しばかりの食べ物と一しょに、岩の上へ打ち上げられたのです。
海岸には、難破船《なんぱせん》のかけらと、まっ白になった骨とが、たくさんちらばっていました。
船長は悲しげに、
「さあ、皆さん。死ぬ用意をしましょう。今までに、この海岸に打ち上げられて、助かった人はないのです。ごらんの通り、後はとてものぼることのできない山ですし、また、助け船が来ることのできるところでもありませんから。」と、言いました。
しかし、そうは言っても、食べ物をみんなに分けてくれました。ともかくも、生きていられるかぎりは、生きていた方がいいと思ったからでした。
さて、この島で私がおどろいたことは、大へんきれいな川が、山から流れ出ているのですが、それが、海へ流れ入らないで、海岸にそって少し流れてから、また、山すその岩でできている、ほら穴の中へ流れこんでいることでありました。そして、そのほら穴の中をのぞいてみますと、その入口の岩は、宝石がはめこんであるように、たくさんきらきら光っています。川底にもダイヤモンドだの、宝石だのが、ちらばっていました。それから、海岸の、どんなすみっこのようなところにも、難破船から打ち上げられた荷物が、ころがっていました。
さて、私の仲間は、食べ物がなくなるにしたがって、一人々々と死んでゆきました。それを私は、次から次とうずめてやりました。
そして、とうとう、私一人になってしまいました。私はもともと、何でも、ほんの少ししかたべないたちでしたから、それで私の食べ物が、一番おしまいまで残っていたのであります。
「ああ、悲しいことだ。私が死んだら、だれがうずめてくれるのか。ああ、どうしてももう、自分の国へ帰ることはできないのか。」
ある日のこと、そんなことを思いながら、川のふちを歩いていました。そして、岩穴の中へ流れこんでゆく水を、じっと見つめていました。そのうち、ふと、ある考えが浮かびました。
それは、この川は、一たんは山の中へ流れこんでいるけれど、きっと、またどこかへ流れ出ているにちがいない。そして、この川を下《くだ》ってみたら、ひょっとしたら、助かることができるかもしれない、ということでした。
それから、急に元気が出てきて、海岸にちらばっている、木や板を拾って来て、丈夫ないかだを組みました。そして、たくさんのダイヤモンドだの、ルビーだの、難破船の荷物だのを、つみました。それから、忘れないで、少し残っていた食べ物もつみました。
そして、よくよく気をつけて、いかだを岸からはなしました。
すると、すうーっと気持よく走り出して、すぐに、まっ暗なほら穴の中へ入りました。どんどんどんどん、私はそのまっ暗な中を流れてゆきました。川幅《かわはば》は、だんだんせまくなって、天じょうも、しだいしだいに低くなってゆきました。そして、頭をごつんごつんと打って、だんだん苦しくなりました。それで私は、いかだの上へぺちゃんこに、腹ばってしまいました。
やがて食べ物も、とうとうみんなたべてしまいました。こんどこそ、いよいよ死ぬのだ、と私はあきらめました。そして、いつのまにか、ねむってしまいました。
何時間も何時間も、そのままでいたらしいのです。何だか、がやがやいう声がするように思って、私はふと、目を開きました。
ああ、その時、どんなによろこんでとび起きたか、お察しください。私の目に、青々とした大空が入ったのです。川はしずかに、広々とした、たんぼの中を流れていました。
へんな声だと思ったのは、黒んぼが大勢《おおぜい》よってたかって、私のいかだを、土手の方へ引っぱっていこうとしていたのでした。
私には、黒んぼの言っていることが、ちっともわかりませんでした。しかし、その中にたった一人、アラビヤの言葉を話せる男がいました。それが、こう言うのです。
「まあ、しずかにしていらっしゃい。……あなたはいったい、だれですか。どこからいらっしったのですか。私どもはこの国の者です。たんぼへ出て働いていますと、いかだが流れて来て、その上にあなたがねむっていらっしゃるので、お助けしたのです。さあ、どうか、ここまでいらっしゃったわけを話してください。」
「ありがとう、いや、どうもありがとう。お話ししましょう。ですけれども、その前に、何かたべる物をくださいませんか。お腹がへって、声が出そうもないのです。」
黒んぼたちは、すぐに、食べ物を持って来てくれました。それで、私はやっと力がついて、気分もよくなりましたので、何もかも、くわしく話してやりました。
すると、みんなは、
「この人を、王さまのお目通りへ、つれて出よう。」と、口をそろえて言いました。
それから、私に、王さまはセレンジブさまというお名前で、世界じゅうで一番えらくて、一番の金持だと、話して聞かせました。
私は、よろこんで、ついて行くことにしました。もちろん、宝石などの入れてある、こうりも持って行きました。
セレンジブ王の御殿は、大へんりっぱなものでした。私は、まだ生れて一度も、あんなりっぱな御殿を見たことがありません。
王さまは、大そう私をいたわってくださいました。そして、私の申し上げる話を、大へんおもしろそうにお聞きになりました。
そして、私が、どうぞ自分の国へ帰らせてくださいませ、とお願いしますと、すぐに、船を出すようにと、家来にお命《めい》じになりました。それから、ご自身で、バクダッドの王さまへあてて手紙をお書きになって、私には、りっぱなみやげ物をくださいました。
こんなにして私は、バクダッドへ帰って来ることができたのであります。
そしてすぐに、カリフさまの御殿へ行って、手紙と、セレンジブ王からいただいたみやげ物とを、さし上げました。
「まあ、このコップは、たった一つのルビーをくりぬいて、こしらえたものじゃないか。おやおや中には、まあ、りっぱな宝石で、もようがかいてあるんだな。おや、これはまた、象《ぞう》でものみそうな、大きな蛇の皮じゃないか。ああ、背中の紋《もん》がまるで、金のように光ってるな。これさえあれば、どんな病気だってなおせる。」
こんなふうに、カリフさまは、手紙と、みやげ物を持って、大よろこびなさいました。それから、
「さあ、シンドバットや、セレンジブ王が、どんなにお金持で、どんなにりっぱであるか、話してごらん。」と、おっしゃいました。
私は、
「陛下、それは、とても私のつたない言葉では、申し上げることができないかと存じます。セレンジブ王は、いつも大きな象に乗っておいでになりますが、おそばには、金色の着物を着た千人の騎兵《きへい》が、つかえているのでございます。そして、王さまの金のほこ[#「ほこ」に傍点]には、エメラルドでかざりがついております。まあ、申してみれば、ソロモン王のような、くらしをあそばしていらっしゃるとでも申しましょうか。」
と、お答えしました。
王さまは、熱心にお聞きになりました。そして、私に、ごほうびをくださいました。
私は、家の者や、友達が待っているだろうと思って、大いそぎで家へ帰りました。それから、持って帰った宝物を売って、貧乏人にほどこしをしました。
その後は、しずかに、楽しい日をおくりましたので、今までの、おそろしかったことや、つらかったことは、遠い昔のゆめではないかとさえ、思うようになりました。
これで、シンドバッドは、第六航海の話を終りました。そして、お客さまたちに、あしたの晩もまた来てください、と言いました。
あくる晩、また、お客さまが、みんなテーブルについて、ごちそうがすんだ時、シンドバッドは、いよいよ一番おしまいの航海の話をはじめました。
一|番《ばん》おしまいの航海《こうかい》の話《はなし》
さて、六度めの航海の後は、私はもう、けっしてどこへも行くまいと、心にきめていました。もう、ぼうけんがしたいとも思いませんでした。
しかし、ある日、友達を呼びあつめて、ごちそうをしています時、召使の一人が入って来て、
「ただ今、カリフさまのお使がお見えになって、だんなさまにお目にかかりたい、とおっしゃいますが。」と、言うのです。
私は、お使を通させて、さて、
「どういうご用でございましょうか。」と、聞きました。
するとお使は、
「カリフさまが、お召しでございます。すぐにおいでください。」と、言いました。
仕方がないので、私はすぐに御殿へ出かけました。そして、王さまの前に出ました。
「シンドバッドや、ひとつお前にたのみたいことがあるのだがね。それは、ほかでもない。わしは、セレンジブ王に、手紙と、おくり物とを、さし上げたいと思うのだが、お前、持って行ってくれまいか。」
と、王さまがおっしゃいました。
私は、はっと首をうなだれました。私の顔は、きっと、死んだ人のように、まっ青《さお》になっていたことでしょう。
「陛下、せっかく陛下のおたのみではございますが、私は、もうけっして、旅へは出まいと、神さまにお約束しましたので。」
やっと、こうお答えしました。それから、ぽつりぽつりと、今まで六ぺんの航海で出あった、いろいろさまざまなぼうけんのお話をしました。
王さまは、びっくりなさいました。けれども、どうしても、この使にだけは行ってくれ、とおっしゃるのです。
おことわりがしきれなくなって、私は「しょうちしました。」と申し上げてしまいました。
カリフさまのお使の船は、バクダッドを出立しました。
それから、おだやかな航海をつづけた後、セレンジブの島へつきました。
町の人たちは、大よろこびで、迎《むか》えに来てくれました。
私は、さっそく御殿へうかがって、役人に、私の来たわけを話しました。
役人は、私を御殿の中へつれて行きました。やがて私は、王さまの前に出ました。
王さまは、
「おお、シンドバッド、よく来てくれたね。わしは、あれからも時々お前のことを思い出して、もう一度会いたいと、思っていたんだよ。」
と、おっしゃいました。
私は、カリフさまのお手紙と、見事なおくり物とを、さし上げました。
王さまは大へんおよろこびになりました。
二三日いた後、私は帰ることにしました。そして、自分の国をさして、船をいそがせました。けれども、またまた、帰りの船で、悪いことに出あってしまったのです。
ほかでもありません、私たちは海賊《かいぞく》にあったのです。そして、船はとられるし、殺されなかった者は、みんなどれい[#「どれい」に傍点]に売られてしまいました。
私もまた、ある金持の商人のところへ、どれいに売られてしまいました。
商人は、私を買って帰ってから、
「お前は、職人かね。」と、聞きました。
「いいえ、商人です。」と、私は答えました。すると、
「では、矢を射《い》ることができるかね。」と、聞きました。
それで私は、できます、と言いますと、商人は、私に弓と矢を渡して、大きな森へつれて行きました。それから、木へのぼれと言いました。そして、
「そこで、じっと番をしていて、象がやって来たら、射るのだよ。もし、うまくあたったら、すぐに知らせにおいで。」と言って、帰って行きました。
一晩じゅう、私は見はっていました。けれども、とうとう来ませんでした。
しかし、夜があけてから、とてもたくさんの象が、ぞろぞろとやって来ました。
そこで私は、矢つぎばやに、五六本、射てみました。
すると、大きな象が一ぴき、ごろりと地の上へたおれました。ほかの象はおどろいて、みんなにげて行きました。
私は、木からおりて、主人の商人のところへ、知らせに行きました。
それから、また主人のつれ立って帰って来て、大きな象を地にうずめ、そこにしるしをつけておきました。こうしておいて、あとで、きばを取りに来るのです。
その後、ずっと私は、この仕事ばかりさせられました。そのうち、またこわい目にあうことになりました。
ある晩のこと、象が、にげて行くと思いのほか、私ののぼっている木のまわりを、とりかこんで、大きな声でうなりながら、足ぶみをしはじめたのでした。それはまるで、大じしんのようでした。そして、とうとう木の根を、引きちぎってしまいました。
木は、めりめりと大きな音を立てて、たおれてゆきました。私は、あまりのおそろしさに、気をうしなってしまいました。
しかし、すぐに気がつきましたが、その時、象は、その鼻《はな》で私をぐるっとまいて、高く持ち上げ、ぴょんと背中にのせました。私は一生けんめいに、背中にかじりつきました。
すると象は、私をのせたまま、歩き出しました。
やがて、森をぬけて、小山のふもとにつきました。この小山には、私はおどろいてしまいました。白くさらされた象の骨と、きばとで、うずまっているのです。
象は、しずかに、私を地の上へおろすと、どこかへ行ってしまいました。
私は、びっくりして、この象げ[#「象げ」に傍点]の山を、しばらく見つめていました。そして、象がこんなにかしこいちえを持っているのに、感心したのでした。
象は、私をここへつれて来て、自分たちを殺さないでも、こんなにたくさんの象げが取れるということを、教えるつもりだったのに、ちがいありません。
私は、ここはきっと、象の墓地《ぼち》なのだろうと思いました。
私はさっそく、きばを二三本拾って、町へいそいで帰りました。主人に、このことを話して聞かせたいと、思ったものですから。
主人は、私の顔を見ると、走って出て来ました。そして、
「まあ、シンドバッドや。私は、あの木の根が掘り返されていたもんだからね、お前は、死んだものだと、思いこんでいたのだよ。もうもう、お前には会われないとばっかり、思っていたのだよ。」と言って、うれし涙《なみだ》を流しました。
私は、さっそく、象げの小山の話をしました。
主人は、それを聞くと、よろこんで、とび上りました。
それから二人で、一しょに小山へ行きました。私の言った通りだったものですから、主人はますます目をぱちくりさせて、しばらくは物さえ言いませんでした。
やがて、
「シンドバッド、もうお前を、どれいでなくしよう。これからは、お前のすきなようにおし。それから、この象げを、お前も取ったらどうだね。うんと取って、お金をもうけたらいいだろう。……ああ、今まで、私のどれいが何人も何人も、この象がりのために命を捨《す》てたけれど、もうもうこれからは、そんなことをしなくても、よくなったんだねえ。まあ、これだけの象げがあったら、今に島じゅうが大金持になってしまう。」
と、言ったのでした。
それで私は、もうどれいではなくなりました。そして、大へんていねいにしてもらいました。
やがて、象げ船が入って来る時分になって、私は、この島にさようならをしました。そして、象げと、ほかの宝物を船にいっぱいつんで、ふるさとをさして帰って来ました。
バクダッドにつくと、私はすぐその足で、カリフさまの御殿へまいりました。
カリフさまは、私を見て、大へんおよろこびになりました。そして、
「シンドバッドや、わしは、ずいぶん心配していたよ。何かまた、へんなことが起ったのではないかと思ってね。」と、おっしゃいました。
それで私は、海賊《かいぞく》の話と、象の話とを、お聞かせしました。
カリフさまは、びっくりなさいました。そして、私の七へんめの航海の話を、すっかり、金の字で書きしるして、カリフさまのお宝物として、だいじにしまっておくようにと、家来にお言いつけになりました。
それから私は、家へ帰って来ました。そして、それからは、ずっと、のどかに、家にくらしています。
これで、シンドバッドの航海の話は終りました。それから、ヒンドバッドの方へ向いて、
「さて、ヒンドバッドさん。これで、どうして私が、こんな金持になったかが、おわかりになったでしょう。もう、私が、こうして、のんきにくらしているのを、不《ふ》つごうだとは、お思いにならないでしょうな。」
と、言いました。
すると、ヒンドバッドは、シンドバッドの前へ出て、ていねいにおじぎをして、その手にキッスしました。
「だんなさま、あなたさまは、そんなつらい目におあいになっても、よくがまんをなすったからこそ、こんなお金持におなりになったのでございます。あなたさまのなすった苦労《くろう》にくらべますと、私の苦労なんか、足もとへもよれないほどでございます。あなたは、きっと、行末《ゆくすえ》ながく、お仕合せにおくらしになるでございましょう。」
と、言いました。
シンドバッドは、この答えを聞いて、大へんよろこびました。そして、ヒンドバッドに、これから毎晩、ごちそうをするから、たべに来るように、と言いました。そしてまた、金貨を百円やりました。
それで、その後、ヒンドバッドは、とうとうシンドバッドのぼうけんの話を、残らずおぼえてしまいましたとさ。
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声は女性、男性など多種類あり、読み上げスピードも変化させることができる。
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アラビヤンナイト 船乗シンドバッド 菊池寛を読み上げてみました。
長いので4度目の航海まで録音しました。(約45分間録音)
フリー版なので宣伝が入ってます。
宣伝がしょっちゅう入るので、大変うっとうしいです。
便利なので、購入しようかどうか迷ってます。
アラビヤンナイト
船乗シンドバッド
菊池寛
バクダッドの町に、ヒンドバッドという、貧乏《びんぼう》な荷かつぎがいました。荷かつぎというのは、鉄道の赤帽《あかぼう》のように、お金をもらって人の荷物を運ぶ人です。
ある暑い日のお昼から、ずいぶん重い荷物をかついで歩いていましたが、しずかな通りへさしかかった時、大そうりっぱな家が立っているのが、目に入りました。ヒンドバッドは、その門のそばで、少し休むことにしました。
その家は、とてもりっぱでした。ヒンドバッドは、まだこんなにりっぱな家を見たことがありませんでした。家のまわりの敷石《しきいし》の上には、香水がまいてありました。
ヒンドバッドの足は、つかれて、熱《あつ》くなっていたものですから、その敷石は大へん気持がようございました。
そして、開いてあるまどからも、何ともいえぬいい香《かお》りが、におってきていました。
ヒンドバッドは、まあ、こんなりっぱな家には、いったい、どんな人が住んでいるのだろうかと思いました。
それで、玄関《げんかん》に立っている番人に、
「これはいったい、どなたの家ですか。」と、聞いてみました。
この番人は、ずいぶん上等の着物を着ていましたが、ヒンドバッドの言葉を聞いて、目をまるくしました。そして、
「まあ、お前さんは、バクダッドに住んでいながら、私のご主人さまの名を、知らないというのかい。船乗のシンドバッドさまといって、世界じゅうを船で乗りまわして、世界じゅうで一番たくさん、ぼうけんをした方じゃないか。」
と、言ったのでした。
ヒンドバッドも、今までたびたび、このふしぎな人の名前と、その人が大したお金持であるといううわさは、聞いていました。それで、ははあなるほどと思って、もう一度、その御殿のような家を見上げました。それからまた、上等の着物を着ている番人を、じろじろ見ていました。そのうち、だんだん悲しくなってきたし、また、ねたましくもなってきました。
「あああ。」ヒンドバッドは、そう、ため息《いき》をついて、荷をかつぎ上げました。そして、天をあおぎながら、ひとりごとを言ったのです。
「まあ、なんて、ここの家の主人と、私とは、ちがうのだろう。まるで、天と地とのちがいだ。ここの家の主人は、毎日々々、お金を使いたいだけ使って、その日その日を楽しく遊ぶよりほかには、何にもすることがないのに、私ときたら、朝から晩まで、せっせと汗《あせ》を流して働いても、やっと、まずいパンを少しぽっちしか、買うことができないんだ。ああ、ああ、まあどうしてこの人は、そんなに仕合せになれたんだろう。そしてまた、私は、どうしてこう、年がら年じゅう貧乏なんだろう。」と。
そして、三十メートルばかり歩いていると、一人の召使《めしつかい》が追っかけて来て、後からヒンドバッドの肩をたたきました。そして、
「家のだんなさまが、お前さんに会いたいから、つれて来いと、おっしゃられた。さあ、ついておいで。」
貧乏な荷かつぎは、びっくりしました。きっと、さっきのひとりごとが、聞えたんだな、と思ったものですから。
けれども、召使は、そんなことにはおかまいなしで、さっさとヒンドバッドを家の中へつれて入り、大広間《おおひろま》へ通しました。
大広間には、大勢のお客さまが、テーブルをかこんで腰《こし》かけていました。テーブルの上には、おいしそうなごちそうが、いっぱいならべてあります。一ばん上座《じょうざ》に、まっ白いひげをはやしたりっぱなおじいさんが、どっしりと腰かけていました。この人がシンドバッドだったのです。
シンドバッドは、びっくりしているヒンドバッドの方を向いて、にこにこしながら、自分のとなりへ来て腰をかけるようにと、手まねきをしました。
そして、ヒンドバッドが腰をかけると、テーブルの上のごちそうを、とってやるようにと、召使に言いつけました。
召使は、ヒンドバッドの前の皿《さら》に、ごちそうをたくさんもり上げ、コップには、上等のお酒をなみなみとつぎました。
ヒンドバッドは、これは、ゆめではないかと、思いはじめました。
ごちそうをたべ終ってから、シンドバッドはヒンドバッドの方を向いて、さっき、まどの外で、何を言っていたのか、と聞きました。
ヒンドバッドは、大そうはずかしくなって、思わずうなだれてしまいました。そして、
「だんなさま、ごめんください。あの時は、大へんくたびれていたものですから、つい、ばかげたことを言って、失礼《しつれい》いたしました。どうぞ、お気におかけくださいませんように。」と、言いました。
シンドバッドは、
「いや、なんで私が、お前さんをとがめたりするもんですかね。私は、お前さんを、ほんとうに気の毒《どく》だと思っていますよ。けれどもお前さん、私が、しじゅうのんきにくらしているのだと、思っちゃあこまります。それからまた、らくらくとこの財産《ざいさん》をつくり上げたと思っても、いけませんよ。これまでになるには、何年も何年も、全く命がけでかせいだからなんです。」と、言いました。
それから、ほかのお客さまの方へ向きなおって、
「そうです、皆さん、私が今までに出あった数々のぼうけんは、どなたにだっておできになることではありません。私がきょうまでにした七へんの航海《こうかい》の話は、まだ一度もお耳に入れたことがありませんでしたが、もしも皆さんが聞きたいとお望みになるのなら、今晩からはじめてもいいと思います。」
と、言いました。
それから召使に、荷かつぎの荷物を、家までとどけてやるように、と言いつけました。
ヒンドバッドは残って、一番はじめの航海の話を聞くことになりました。
一|番《ばん》はじめの航海《こうかい》の話《はなし》
私の父は、かなりたくさんの財産を残して死にました。その時分、私はまだ若かったものですから、それをむだ使いして、も少しですっかりなくするところまでゆきました。しかし、これはうっかりしていると、貧乏人になってしまうぞと、気がついたものですから、急に大決心を起しました。そして、残っているお金をかぞえてみて、商売をすることにきめました。それから私は貿易《ぼうえき》商人の仲間へ入り、船に乗りこむことにしました。次から次と、船がつく港《みなと》で、持って行った品物を売ってお金にしたり、また、あちらの品物ととりかえっこをしようと思ったからです。
まず、私の、一番はじめの航海がはじまりました。
はじめの二三日は、私はだいぶ、船によいました。けれども、やがて、だんだんなれてきて、よわなくなってしまいました。
さて、ある夕方のことでした。風がぴったりとしずまって、船のゆれも、ばったりとまってしまいました。
ちょうどその時、私どもは、青々と草のはえた、平たい小さな島のそばを走っていたのです。その島は、まるで牧場《まきば》のようで、その向うに青々とした海が見えていました。船長はみんなに、この島へ上って、少し休んでもいいと言いました。
私どもは大よろこびで、さっそく、この緑の牧場に上りました。そして、そこらじゅうを歩きまわったり、寝ころんだりしました。中でも、私たち五六人の者は、たき火をして、晩ごはんをこしらえようとしました。
やっと、たき火がもえついた時分でした。船から、大きな声で、
「早く、帰って来ーい。」
と言う声が、聞えました。
私どもが、島だとばかり思っていたのは、ほんとうは、ねむっていた、くじらの背中《せなか》だったのです。
みんなは、波打《なみうち》ぎわへつないでおいたボートをめがけて、いちもくさんに走り出しました。けれども、私がまだボートまで行きつかないうちに、早くも、このくじらは、海の中へもぐってしまったのであります。
私は水の中で、ずいぶんもがきました。そして、やっと板きれにとりつきました。それは、たき火をするために、船から持って来たものでした。
ところが船では、何かごたごたがあって、私のことなんか忘れていたらしいのです。船長は、風が吹き出すと、船を出してしまいました。
私は、波にもまれながら、とうとう、おき去りにされてしまったのであります。
それから一晩じゅう、私は水につかっていました。そして、朝になった頃には、もうへとへとにくたびれてしまって、死ぬよりほかには仕方がないと思っていました。
けれども、ちょうどその時、大へん大きな波がやって来ました。そして、私を持ち上げたかと思うと、ある島のがけの下へ打ち上げました。
うれしいことには、そのがけは、よじのぼることができました。この上は、青々と草のはえた原っぱでした。そこで私は、まず何よりも休みました。
すぐに気分がなおりました。けれども、大そうお腹《なか》がへっていたので、何かたべる物はないかとさがしに出かけました。
少し行くと、おいしそうな果物《くだもの》の木がありました。そのそばに、きれいな水がふき出している泉《いずみ》もありました。
私はそこで、まず食事をすまして、また何かほかにないかと思って、島の奥《おく》の方へ歩いて行きました。
すると、ほどなく牧場に来ました。馬が、あちこちにはなしてあって、みんな草をたべていました。
しばらく、ぼんやり立っていますと、人の話し声が聞えてきました。耳をすましていると、それがどうも、地の下で話しているようなのです。
まもなく、草の間にかくれてあった穴から、ぬうーっと人が一人出て来ました。そして、私を見つけると、お前はだれか、どこから来たのか、とたずねました。
それから、私を穴の中へつれて入りました。穴の中には、仲間らしい人がたくさんいました。そして、自分たちは、この島の王さまの馬がかりで、馬を買いに、この牧場へ来ているのだと言いました。
私に、おいしい食べ物をくれて、
「お前さんは、ほんとうに運《うん》がいい人だよ。もし、あした来たんだったら、もう私たちは帰ってしまっていたからね。道を教えてあげることは、できやしなかったんだよ。」
と、言いました。
あくる朝早く、私たちは出立《しゅったつ》しました。そして都《みやこ》につきました。
王さまは私をよろこんで迎えてくださいました。私が出あったさいなんの話をお聞きになり、
「この者に、不自由をさせないように、気をつけてやれ。」
と、家来《けらい》にお言いつけになりました。
さて、私は、大へん船がすきでしたから、そこにいる間、毎日のように、はとばに出かけて、ボートから荷物をおろすのを、見てくらしました。
ある日のこと、いつものように、あちこちの船につんである、荷物をながめていました時、その中に、私の名を書いたこうり[#「こうり」に傍点]が、たくさんつんであるのを見つけました。それで、すぐに、その船長のところへ行って、そのこうりの持主《もちぬし》はだれです、と聞いてみました。
すると船長は、
「ああ、それはね、バクダッドの商人の、シンドバッドという人のです。その人は、航海に出るとまもなく、むごたらしい死に方をなすったのです。ある時、この船に乗っていた人たちが、ねむっていた大きなくじらの背中を、草のはえている島だと思って、その上に上ったのです。そして、たき火をしました。すると、熱いので、くじらが目をさまして、いきなり海へ沈《しず》んでしまったのです。それで、たくさん人が死にました。その中にシンドバッドさんもいたのです。そういうわけですからね、私はこの品物をすっかり売って、お金にして、あの方の身内《みうち》とか、しんるいとかいう人でもあったら、お渡ししたいと思っているのです。」
と、話したのでありました。
それで私は、
「船長、私がそのシンドバッドです。このこうりは、みんな私のです。」と、言いました。
すると、船長は、急におそろしい顔をして、
「まあ、世の中はゆだんもすきもありゃしない。おい、お前さんが何と言ったってね、私は、ちゃあんとこの目で、シンドバッドが海に沈んだところを見たのだぜ。」
と、どなりつけました。
私は、すぐに、あれから後のことを何もかも船長に話しました。ところへちょうど、船に乗っていた商人たちが出て来て、私をほんとうのシンドバッドだと言ってくれました。
船長は、はじめて、大そうよろこびました。そして、
「すぐに、荷物をお引き取りください。」と、言いました。
私はその中から、なるべく見事なものをえらび出して、王さまにさし上げました。それから、あとの品はみな売りはらって、びゃくだんと、にっけいと、しょうがと、はっかと、丁子香《ちょうじこう》とを買い入れました。
それからもう一度、この船長の船に乗って出かけました。
その帰りみち、私はある島で、持って来た香料《こうりょう》をみんな、大へん高く売ることができました。それで、いよいよバクダッドへ上る時には、一万円の金貨ができていました。
家の者たちは、私が帰って来たので、大へんよろこびました。
それから私は、少しばかりの土地を買って、小ざっぱりした家を立てました。そして、安楽《あんらく》にくらして、こわい目にあったことは、みんな忘れてしまおうとしました。
ここで、シンドバッドは、一番はじめの航海の話を終りました。そして、音楽をはじめるように、また、もっとごちそうを持って来るように、と言いつけました。
さて、それがすんだ時、シンドバッドは、金貨で百円ほどを、ヒンドバッドにくれました。そして、もしも二度めの航海の話が聞きたかったら、あすの晩の、今時分にまたおいで、と言いました。
ヒンドバッドは、大いそぎで、自分の家へ帰って行きました。
皆さん、その夜、まあどんなにヒンドバッドのおかみさんや、子供たちがよろこんだか、お察《さっ》しください。
さて次の晩、ヒンドバッドは、一番いい着物を着て、シンドバッドの家へ行きました。
ゆうべと同じように、大そうなごちそうが出ました。そして、それがすんだ時、
「皆さん。今晩は、二度めの航海の話をしようと思います。これは、ゆうべの話よりか、もっともっとふしぎなことがたくさんあります。」と、シンドバッドが申しました。
二|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
家へ帰って、しばらくの間は、私も楽しくくらしていました。しかし、まもなく、私は、ぶらぶらとその日その日をおくることが、いやになりました。そして、海の上へ乗り出して、波の上をとぶように走ったり、帆づなをびゅうびゅううならせて吹いてゆく、風の音を聞いたりしたくて、たまらなくなりました。
そこで私は、いそいでいろいろの品物を買いあつめ、もう一度、外国へ商売《しょうばい》に出かけることにしました。
それから、つごうのよさそうな船に乗って、大勢の商人たちと一しょに、いよいよ二度めの航海に出かけました。
船は、みちみち、いろんな港につきました。私どもは、そのたんびに、持って来た品物を売って、大そうもうけました。そして、すっかり品物を売りはらってしまってから後のことでした。ある日のこと、私たちは、ある島につきました。
その島は、ほんとうに美しい島でした。エデンの園《その》かと思われるほど、きれいなところでした。たくさんの花が、にじ[#「にじ」に傍点]のように咲きみだれて、じゅくした果物が、おいしそうにふさ[#「ふさ」に傍点]になって、なっていました。
私は、まずこの木の下へどっかりとすわりました。そして、あたりを見まわしました。
そこら一面、見れば見るほど、美しゅうございました。私は、持って来た食べ物をたべたり、お酒を飲んだりしました。それから目をつぶりました。そばを、しずかに流れている、小川の流れの音が、歌のように聞えてきました。そのうちに、ぼーっとしてきて、私はねむってしまいました。
それから、いったい、どれだけ時間がたったのかわかりませんが、ふと目をさますと、一しょに来た人たちは、一人もいなくなっていました。びっくりして、海の方へさがしに行ってみますと、まあ、どうでしょう。船は、とっくに出てしまっているではありませんか。そして、はるか向うまで走って行って、ちょうど白い点を打ったように見えるだけであります。私は、この島におき去りにされてしまったのです。こんなことになるほどなら、どうしてあのまま、家にじっとしていなかったのかと、泣いて残念《ざんねん》がりましたけれど、仕方がありませんでした。
私は、どうにかして島から出て行くことはできないものかと思って、高い木にのぼって、方々を見まわしました。
はじめに海の方を見ました。けれども、海には何にもありませんでした。
それで、こんどは、陸《おか》の方を見ました。すると、島のまん中ほどに、大きな、白い、円《まる》屋根のようなものが見えました。今まで一ぺんも、そんなものを見たことがないので、それが何だか、ちっともわかりませんでした。
私は、ともかく、木からおりました。そして、大いそぎで、その白い円屋根の方へ走って行きました。
しかし、いよいよそばまで行っても、それはかいもく何だかわかりませんでした。ちょうど大きなまり[#「まり」に傍点]のようで、すべすべしていて、とても、よじのぼることなどできませんでした。また、それかといって、中へ入って行こうにも、戸らしいものや、入口らしいものが、一つもありませんでした。どうにもしようがないので、私はただ、ぐるぐるそのまわりをまわっていました。
すると、にわかに空がくもってきて、見る見る夜のように、まっ暗になってしまいました。
それで、おそるおそる空を見上げますと、大きな鳥がまいおりて来て、そのつばさのかげのために、こんなになったのだということがわかりました。鳥は、またたくまにおりて来て、白い円屋根の上へとまりました。
この時、ふと私は思い出したことがありました。それは、水夫たちに聞いていた、ロックという鳥のことです。それで、すべすべした円いまりは、その鳥の卵にちがいないと思いました。
こう思いつくと、すぐに私は、頭にまいていた布をといて、つなを作りました。そして、それを自分の腰のまわりにまわして、両方のはしを、しっかりとロックの足にむすびつけました。
「しめたぞ。この鳥は、今に、とび上るにちがいない。そして、きっと、私をこの島から、つれ出してくれるにちがいない。」私は、こうひとりごとを言って、よろこびました。
はたして、まもなく、私は地から持ち上げられました。そして、雲にとどくかと思うまで高くのぼってしまいました。それからまた、だんだん下へおりてゆきました。そして、地につきました。私は手早く、ずきんの布をときました。そしてロックからはなれました。
ロックにくらべると、私はお話にならないほど、小さいものでした。それでロックは、まるきり私に気がつかなかったらしいのです。ロックはすぐに、そばに寝《ね》ていた大きな黒いものの方へとびかかってゆきました。そして、それを口ばしでくわえて、とび上ってしまいました。
皆さん、それから私が、つくづくと、ほかにもたくさん寝ていた黒いものを見た時、まあ、どんなにおどろいたか、お察しください。それはみんな、黒い大きな蛇《へび》だったのです。
なお、よくよくあたりを見ますと、ここは、岩のかさなりあった、深い谷底でした。どちらを向いても、びょうぶのようにけわしい山が、そびえていました。そして、岩の間には、このおそろしい蛇よりほか何にもいませんでした。
「ああ、こんなことなら、いっそあの島にいた方が、ましだった。わざわざ、もっとひどい目にあうために、この島へ来たようなものだ。」と、私は泣き泣き、ひとりごとを言いました。
そして、じっと岩を見つめていますと、何だか、きらきらとよく光る石が、そこら一面にちらばっているではありませんか。ふしぎだなと思って、ずっとよって見ると、それがみんな、大へん大きなダイヤモンドでありました。ちょうど小石くらいの大きさのものです。私は、とび上るほどよろこびました。
しかし、すぐに、おそろしい蛇が、私にかみつこうとして、ねらっているのに気がつきましたから、そのよろこびはどこへやら、背中にぞっとさむけがたちました。
蛇は、どれもこれも、大そう大きなものでした。象《ぞう》でも、一口にのみそうなものばかりです。昼間はロックがこわいので、じっとしていても、夜になると、のたりのたりとはいまわって、食べ物をさがすのでした。
私は、日がくれないうちに、岩の中の穴を見つけて、その中にしゃがんで、ふるえながら夜のあけるのを待ちました。そして朝になってから、もう一度、谷へ出て行きました。
さて、これからいったい、どうしたらいいのだろうと、じっとすわって考えていますと、ちょうど目の前へ、ころころと大きな生《なま》の肉のきれが、ころがって落ちてきました。それからまた、同じようなのが落ちてきました。そして、次から次と落ちてきて、見る見るもり上ってしまいました。
この時、私はふと、ある旅行家《りょこうか》から聞いた、ダイヤモンド谷の話を思い出しました。それは、毎年わし[#「わし」に傍点]が卵をかえす時分になると、商人たちが、高い山へのぼって行って、生の肉のきれを、谷底をめがけてころがし落すのでした。すると、谷にちらばっているダイヤモンドが、その肉の中へ、はまりこみます。その肉を、わしがひな[#「ひな」に傍点]にやるために、くわえて帰って来るのです。商人たちは、そこを待ちかまえていて、わしを巣《す》から追い出して、肉の中のダイヤモンドをとるという話であります。
やがて、わしがまいさがって来て、肉のきれをくわえて、とび上ってゆきました。それを見ているうちに、ふとある考えが浮かびました。それで、とてもだめだと思ってしょげていた私は、元気を出しました。
そこで、まずあたりをさがしまわって、なるべく大きそうなダイヤモンドを拾って、ポケットにつめこみました。それからまた、肉の一ばん大きなきれを見つけて、それを、あのずきんで作ったつなで、からだへしっかりと、むすびつけました。わしがまたすぐに、えものを取りにおりて来るだろうと思ったからです。それから、肉のきれの下にもぐって、地面の上へねそべりました。そして、どうなることかと、じっと待っていました。
するとまもなく、わしが、すうーっとおりて来ました。そして、私のからだにむすばれてあった肉をつかんで、さっととび上りました。そして、高い高い山の上の、岩の間の巣の中へ、私を落しこみました。
すると、思った通り、すぐに岩の後《うしろ》から人が出て来て、大きな声でわしを追いたてました。わしは、びっくりして、そのままとび去ってしまいました。
この人は、この巣の番をしている商人で、肉の中のダイヤモンドをさがしに来たのでありましたが、私を見て、びっくりして、後へとびのきました。けれども、すぐに、
「お前さんはここで何をしているんだ。ああわかった。ダイヤモンドをぬすみに来たんだな。」
と、おこりつけました。
しかし、私は、落ちついて、
「まあ、お待ちください。私はけっして、どろぼうではありません。私の話をお聞きになったら、きっと私を、気の毒に思ってくださるでしょう。そして、きっとおとがめにはならないでしょう。それから、お望《のぞ》みのダイヤモンドなら、ここに少し持って来ましたから。」と、言いました。
そこへ、ほかの番をしている商人たちもやって来ました。私はみんなに、今までの、あぶない目にあった話をして聞かせました。商人たちは、私の勇気と、そんなあぶない目からうまくのがれたちえとに、びっくりして、ただただ目を見はっているばかりでした。
それから私は、手にいっぱいダイヤモンドをつかみ出しました。そして、みんなに見せました。みんなは、そんなりっぱなダイヤモンドを見たのは、はじめてのようでした。
「さあ、がっかりなさったかわりに、どれか一つお取りください。」
と、どなりつけた商人に言いました。
すると、その人は
「では、この小さいのを一ついただきましょう。」と、言って、きらきら光っている中から、一ばん小さいのを一つ取り出しました。
私は、もっと大きいのをお取りなさい、とすすめましたが、その人は首《くび》をふって、
「これ一つあったら、私がほしいと思った財産をつくることができます。私はもう、こんなあぶない思いをして、ダイヤモンドをさがしには来ますまい。」と、言いました。
それから、みんなで、港をさして出かけました。そして、そこから船に乗って、家へ帰ることにしました。帰りみちでも、いろいろあぶない目にあいました。けれども、ともかく、バクダッドへ帰って来ることができました。
私はダイヤモンドを売って、大へんなお金をもうけました。そして、たくさんのお金を貧乏人にほどこしました。そして前よりも、もっとお金持になって、人からちやほやされるようになりました。
ここで、シンドバッドは話をやめました。そして、また百円、ヒンドバッドにくれました。それからヒンドバッドは家へ帰って行きました。
次の日の晩も、また、お客さまたちはあつまりました。ヒンドバッドも、やっぱりやって来ました。
シンドバッドは、また、あぶない目にあった話をしはじめました。すなわち、三度めの航海の話でありました。
三|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
私は、しばらく家にいて、楽しくくらしているうちに、だんだん、苦しかったことや、こわかったことを、忘れてゆきました。そしてまた、新しいぼうけんがしてみたくなりました。それに、まだ私は、家でしずかにして、ぶらぶらくらしている年ではない、と思いました。それでこの前の時のように、品物を買いあつめて、商売の旅《たび》に出ました。
商売は、どの港でも、大へんつごうよくゆきました。品物がどんどん売れてゆきました。そして、こんどこそは、ひどい目にもあわないですみそうだと思っているやさき、ある日、大あらしがやって来ました。
船は、すっかり方向がわからなくなってしまって、船長でさえも、風下《かざしも》のある島のかげへ来るまでは、どこをどう進んでいるのか、かいもくわからないというほどでした。
仕方がないので、私どもはともかくも、その島のかげで、あらしをよけるために、いかりをおろしました。
けれども、船長が、この島をつくづくと見た時、急にかみの毛を引きむしって、
「しまった、ここは猿《さる》の山にちがいない。」と、さけんだのであります。
それから船長は、この島へ来て、生きて帰った者はないのだ、という話をしました。なぜかというと、この島には、人よりも猿によくにたものがたくさん住んでいて、おまけに大そう、けんかずきだというのです。
船長のこの話が終らないうちに、もう小さなやつが大勢、海岸へ出て来たかと思うと、船をめがけて、ぽちゃぽちゃと泳《およ》いで来はじめました。
それが近づいて来た時、よくよく見ると、一寸|法師《ぼうし》のようで、猿よりもにくらしいのです。そして、からだじゅうに赤い毛が、ぎっしりはえていました。
やがて船に泳ぎつくと、みんなして船を海岸へ引っぱって行きました。そして、私どもを陸《おか》に追い上げて、こんどは自分たちばかりが船に乗って、ほかの島をさして、こいで行きました。
私どもは、こわごわ、そこらじゅうを歩いてみました。そして、果物や木の根を見つけて、たべました。
夕方になってから、向うに高い御殿が立っているのが、見つかりました。それで、そこにかくれるところがあるかもしれないと思って、行ってみることにしました。
御殿には、こくたんの大きな戸が閉まっていました。おすと、すぐに開きました。私どもは、中庭へ入って行きました。だれもいないで、ひっそりとしていました。
しかし、しばらく見まわっているうちに、骨《ほね》を小山のようにつみかさねてあるところへ来ました。そこには、物を焼く時に使うかなぐしが、いっぱいちらばっていました。
わけがわからないものですから、私たちは、だいぶ長い間、じっとそれを見ていました。すると、太い、雷《かみなり》のような音が聞えてきました。みんなが、その方をふり向くと、ちょうど、こくたんの戸がそろそろと開きかかっているところでした。そして、くれない[#「くれない」に傍点]と金をまぜたような夕やけの空の中に、ぬうーっとあらわれたのは、おそろしい大入道《おおにゅうどう》でした。
その大入道は、松やにのようにまっ黒な色をしていて、しゅろの木のように背が高いのです。ひたいのまん中に、一つ、まっ赤《か》な目がありました。それはちょうど、石炭がもえている時のように、ぎらぎら光っていました。口は、まっ暗な井戸のようで、くちびるは、らくだのように胸までぶらさがっていました。そして、耳は象のように大きくて、肩のへんまでたれていました。また爪《つめ》は、わしのようにとがっていました。
私どもは、この大入道を一目見るやいなや、気をうしなって、そのままそこにたおれてしまいました。
やがて、息《いき》をふき返してみると、大入道は、私たちを一人ずつ、つまみ上げて、そのまっ赤な目で、ていねいにしらべているところでした。
すぐに私がつまみ上げられました。私は、高いところで、ぶらんぶらんしていました。大入道は、ぐるぐる私をまわしながら、からだの方々をつねってみるのです。太っているかどうか、こうしてしらべるのです。やがて、私が骨と皮ばっかりにやせているのがわかると、下へぽーんと投げました。それから、また、仲間の一人をつまみ上げました。この人も、くるくるまわされたり、つねられたりして、苦しそうでした。その次には船長をつまみ上げました。この人は、みんなの中では、一ばん太っている人です。大入道は、にやりと笑って、船長をかなぐしに、ぷすりとさしこみました。そして焼きはじめました。
それから船長を、夕ごはんにしてたべてしまうと、ぐうぐうねむりはじめました。そのいびき[#「いびき」に傍点]は、一晩じゅう、雷がごろごろ鳴りひびいているようでした。
そして朝になると、私たちには目もくれないで、さっさと出かけて行きました。
すぐに、私どもは、よりあつまって、自分たちの不運《ふうん》を悲しみあいました。そして、どこかほかに、かくれ場をさがそうと思って、御殿を出て行きました。
しかし、島じゅうどこにも、そんなところはありませんでした。
夜になって、仕方なく、また御殿へ帰って来ました。
すると、まもなく大入道も、外から帰って来て、また仲間の一人をつかまえて、きのうの船長と同じようにして、たべてしまいました。
次の朝、大入道が出かけて行った後、私どももやっぱり、出かけました。こんどは、もう一度この御殿へ、たべられに帰って来るくらいなら、いっそ海へ身を投げて、死ぬ決心《けっしん》でした。
それから、方々さがしても、やっぱりどこにも、かくれ場はありませんでした。そして、出るともなく海岸へ出てしまいました。すると、仲間の一人が、
「私たちは、もう神さまに見はなされてしまったのです。あんなにして、一人々々殺されてゆくよりも、いっそ、みんな一しょに死んでしまおうじゃありませんか。」
と、言いました。
「なるほど、それももっともです。しかしまあ皆さん、私の考えも、ひとつお聞きください。」
と、私はそれに答えてから、口をきりました。それから、
「このあたりに流れついている流木《りゅうぼく》を拾って、いかだを作りましょう。そして、もしもあの大入道を殺すことができなかったら、それに乗って、にげたらよいじゃありませんか。いかがです。」
と、相談してみました。
すると、みんなこの話に、さんせいしてくれました。そして、夕方までにいかだを作り上げて、海岸につないでおきました。
さて、それから、帰りたくもない御殿へ、いやいやながら帰って行きました。きっと今晩も、だれかが殺されて、たべられてしまうにきまっていましたが。
大入道は、また一人を、いつものように夕ごはんにしてたべると、大いびきで寝てしまいました。そこで私どもは、しずかに、大きなかなぐしを二つ、取り上げました。そして、かっかっと石炭がもえている中へ、つっこみました。そして、それがまっ赤になるのを待って、こっそりと大入道の寝ているそばへ、近よって行きました。それから、みんなで力をあわせて、そのかなぐしを、大入道の目の中へつきさしました。
大入道は、おそろしいうなり声を立てて、痛《いた》いのと、腹が立つのとで、とび起きました。そして、うでをのばして、私どもをつかまえようとしました。けれども、もうめくらになっているものですから、私どもはうまくにげまわって、すみの方にうつぶしになっていました。それで、とうとう一人も、つかまえられませんでした。
大入道は、わあわあ泣きながら、やっと、こくたんの戸のところまで行きました。そして、手さぐりで戸をあけて、まっ暗なやみの中へ消えていってしまいました。その泣き声が、いつまでもいつまでも、夜の空にごーごーと鳴りひびいていました。
私どもはすぐに、いかだをつないであった海岸をさして、走って行きました。そして、そこで、大入道が死んでしまったのか、まだ生きているのかわかるまで、待つことにしました。
けれども、やっぱり、私たちは運が悪かったのです。夜があけてゆくにしたがって、雷のような足音が聞えてきはじめました。それは、おこったあの大入道が、仲間を二人つれて来る足音でした。二人とも、さっきの大入道にまけずおとらずの、おそろしく背の高いやつでした。
私どもは、それを見るやいなや、大いそぎでいかだに乗りました。そして、沖《おき》へ向ってこぎ出しました。
すると、大入道たちは、岩を拾っては、いかだをめがけて、投げはじめました。そのため、私のいかだよりほかのいかだは、みんな海に沈んでしまいました。
私のいかだには、ほかに二人の仲間が乗っていましたが、三人とも、どうしてもここからにげたいと思いました。それで、あるかぎりの力を出して、こぎました。それで、まもなく、ほかの島へつくことができたのです。
この島には、大そうおいしい果物がありました。私どもは、たべたり、休んだりして、しばらくつかれをなおしていました。
するとにわかに、ざーざーと、おそろしいひびきが聞えてきました。そして私どもは、何だか急に気分が悪くなってしまいました。仕方がないので、じっとしていますと、とても大きな蛇が、ぬうーっとはいよって来ました。そして、あっというまに、仲間の一人をのんでしまいました。
「ああ、やっと一つのがれたと思えば、こんどは前よりも、もっと悪いことがやってくる。ほんとうに、どうしたらここからにげて行くことができるのだろう。」
と言って、私たちはなげきました。
それでも、助かった二人は、走りつづけて、やっと高い木の下まで来ました。そして、大いそぎで、その木へのぼりました。
その木には、運よくも、果物がなっていました。そこで二人は、まずお腹《なか》をこしらえました。
その夜、私は、一ばん高い枝にのぼっていましたが、また蛇のざーざーいう音で目をさましました。すると、どうでしょう、蛇は、木にぐるぐるとまきついて、今にも、たった一人の私の仲間を、のもうとしているのです。そして、あっというまもなく、また大きな口をあけて、ぺろりとのみこんでしまいました。
「ああ、こうなっちゃ、もうどうしたってだめだ。晩にのまれるのを、じっと待っているよりも、いっそ、がけの上から、海へとびこんで死んでしまおう。」
こう、私はひとりごとを言いました。
けれども、海べまで来てみますと、そんなことをするのは、あんまりいくじがなさすぎると考えたのであります。
そこでまた、引き返してきて、木の枝だの、あし[#「あし」に傍点]だの、いばら[#「いばら」に傍点]だのを、できるかぎりあつめました。そして、それをたばにして、しっかりとゆわえ、それでもって、木の下に円い小屋のようなものを立てました。そして、そのてっぺんを、かたくかたくむすびあわせて、どこにも蛇が入って来るすきまがないように、ていねいに作り上げました。
さて、その晩も、おそろしいざーざーいう音が聞えてきました。けれども、蛇はただ、小屋のまわりを、ぐるぐるとすべりまわっているだけでした。私は、おそろしさのあまり、死んだ人のようになって、ふるえながら夜をあかしました。
こうしてまた、私は助かりました。そして、海べへ出て行きました。こんどこそは、もう身を投げて死のうと、きめて行ったのです。あんなおそろしい目にあうのは、とてもがまんができないと思ったものですから。
しかし、ありがたいことには、海べに立って、沖の方をながめていますと、一そうの白帆《しらほ》の、こちらへ近づいて来るのが見えました。
私はずきんをとって、むちゅうになってふりまわしました。するとまあ、なんてうれしいことでしょう、その船からはボートをおろしました。私を助けに来るのです。
まもなく、私はその船に乗ることができました。そして、いっさいの話をしました。だれもかれも、私をかわいそうに思って、大そうしんせつにしてくれました。そして、新しい着物を出してきて、
「そのぼろぼろになった着物と、お着かえなさい。」と、言ってくれる人もありました。そのほか、いろんなことをして、私をなぐさめてくれました。
そんなにして、航海をつづけているうちに、びゃくだんの木が、いっぱいはえている島へつきました。そこで、いかりをおろして、商人たちは島の人たちと取引をするために、陸《おか》へ上ってゆきました。
そのあとで、船長が私を呼んで言うには、
「じつは、少しお願いしたいことがあるのですが、聞いてくださいませんでしょうか。ほかでもありません。まあ、このたくさんの荷物を見てください。これはみんな、この船に乗っていたバクダッドの商人のものなのですが、気の毒なことには、その人を、ある島へ、おき去りにしてしまったのです。それで私は、この荷物をみんな売りはらって、そのお金を、その商人の家の人にあげたいと思っているのですが、あなた、これを陸へ持って上って、売ってくださいませんでしょうか。もちろん、分《わ》け前《まえ》はさし上げるつもりなんですが。」とのことなのです。
そこで、私は、
「それは、けっこうなお考えです。だが、その商人の名前は、何というのでしたか。」
と、聞いてみました。すると、船長は、
「シンドバッドというのです。」と、答えたではありませんか。
私は、こうり[#「こうり」に傍点]についている、私の名前をしらべてみました。それから、船長に、
「その人は、ほんとうに死んだのですか。」と、聞きました。
船長は、
「それが気の毒なんです。とてもあの島では、助かっている見こみはありません。」
と、答えました。そこで、私は船長の手をとって、
「船長、私の顔をよーっくごらんください。あなたはこの顔に、おぼえはありませんか。私こそそのシンドバッドです。あのロックの島にとり残された、シンドバッドです。」
と、言いました。そして船長に、いろいろこわい目にあった話をして聞かせました。そのうちにだんだん、私がシンドバッドだということが、わかってきました。そして、大よろこびで品物をみんなと、今までにほかの島で私の品物を売ってもうけたお金とを、私に渡してくれました。
それからまもなく、私たちはバクダッドにつきました。私は、こんどの商売では、とてもかぞえきれないほど、お金をもうけていました。それで、もっと土地を買って、またたくさんのお金を貧民どもにほどこしました。そしてまもなく、あぶなかったことや、苦しかったことを、みんな忘れてしまいました。
そこで、三度めの航海の話は終りました。
シンドバッドは、また、ヒンドバッドに百円やるようにと、召使に言いつけました。
それからまた、ヒンドバッドは、第四航海の話を聞きに来ました。
四|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
三度めの航海の後は、私は大へんゆたかに、仕合せにくらしていました。しかし、皆さん、あきれてはいけません。また私は、ただお金持で、ぼんやり家にいるのでは、どうも満足《まんぞく》ができなくなりました。旅をして、いろいろのぼうけんをしたいと思う心が、おさえても、おさえても、どうしてもやみませんでした。
私は、また、商品を買いあつめました。そして、仲間の商人と一しょに船に乗って、外国の港をさして、出かけました。
船は、いろいろの港につきました。私どもは、それぞれお金もうけをしました。
ところがある日、大あらしがやって来たのです。そして、船長でさえも、船をどうすることもできなくなってしまいました。
帆《ほ》は風のためにぼろぼろにちぎられて、まるでリボンのようになってしまいました。波は、何べんも何べんも、かんぱんの上をあらって、そのうちに船は、とうとう沈みはじめました。
乗組員と、お客さまの大部分は、おぼれてしまいました。しかし、私ども二三人は、やっと板きれに、とりつくことができたのです。そして、一晩じゅう、おそろしい思いをしながら、波にただよっているうちに、ある島へ流れつきました。
「生きているより、死んだ方がましだった。」
そう思いながら、夜があけるまで、海岸にたおれていました。
やがて、朝になってから、何かたべるものがほしくなったので、島の奥《おく》の方へ歩いて行きました。大して歩きもしないうちに、まっ黒な、やばん人《じん》のむれに行きあいました。
このやばん人どもは、すぐに私たちをとりまいて、自分らの小屋の方へ、引っぱって行きました。そして、まずはじめに、食べ物をくれました。私の仲間は、それをがつがついってたべました。けれども私は、もともと用心ぶかいたちですから、たべるふうだけしておきました。なぜかと言いますと、どうもこのやばん人どもは、人間の肉をたべているらしく思われたからです。
でも、ほんとうに、たべないでよかったのです。私の仲間は、食べ物をのみこむと、まもなく気をうしなってしまいました。そして、やがて気がついた時は、もうすっかり気ちがいになっていました。
これはどう見ても、やばん人どもが、何かたくらんでいるのにちがいないと思いました。
その次にまた、ごはんの上にやし[#「やし」に傍点]の油をどっさりかけて、持って来ました。この時は、
「はーあ、こうして、みんなを太らせておいてから、たべるんだな。」と、わかりました。
それとともに、私は大そうこわくなりました。それからは、いよいよ何にもたべませんでした。それで、大へんやせてしまいました。だれだって、殺してたべようとは思わないほどに、なってしまいました。
さて、ある日、年とったやばん人が、ただ一人、番をしているきりで、みんな出て行ってしまったことがありました。それで、私はやすやすとぬけ出すことができました。
私は、できるかぎり大いそぎで、森の中へ走って行きました。そしてそこで、七日ほどすごしました。
しかし、やがてまた走り出て、とうとう島のはんたいのかわへ行きつきました。
そこには、西洋人たちが、こしょうを取りに来ていました。そして私を見て、大へんびっくりしました。それから私の話を聞いて、なおなお、おどろいてしまいました。
「あのやばん人どもは、だれだって見つかりしだい、殺してたべてしまうのです。無事《ぶじ》ににげ出して来たのは、きっとあなた一人でしょう。」と、言いました。
それから私を、自分たちの船に乗せて、その国へつれて行きました。そして、王さまのお目通りへ、つれて出ました。
それから、みんなは、なかなかしんせつにしてくれました。
王さまも、とくべつにお取立てくださって、高い位《くらい》につけてくださいました。
さて、その島は、大へんお金のたくさんある島でした。そして、都《みやこ》では、さかんに商売が行われていました。私も、すぐに仕合せになって、満足していました。
しかし、この島で、おどろいたことには、だれもかれも、馬によく乗るのですけれど、くらやあぶみや、たづなを使う者がないのです。それで、ある日、私は王さまに、
「陛下《へいか》、なぜ、この国では、くらをつける人がないのでございますか。」
と、うかがってみました。
すると王さまは、ふしぎそうな顔をなすって、
「何を言ってるのかね。わしはまだ、そんな言葉を聞いたことがないよ。」
と、おっしゃったのです。
そこで私は、なめし皮を作る職人《しょくにん》の中から、りこうそうなのを一人つれて来て、りっぱなくらを作ることを教えました。そして、私もまた、あぶみだの、はくしゃだの、たづなだのを作りました。そして、これらがみんな出来上ってから、そろえて王さまにさし上げました。そして、どういうふうに使うということもお教えしました。
すると、すぐに王さまは、それをお使いになって、大そうおよろこびになりました。
また、それを見て、身分の高い人たちは、だれもかれもほしがりました。それで、私はまた、みんなに作ってやりました。
さて、そのうちに、私は、この島でも指おりの金持になってゆきました。
王さまは、とうとう私に、この島の美しい娘と結婚《けっこん》をして、この島の人間になってしまうように、とおっしゃいました。
私は、その美しい娘というのを見ました。すると、王さまのご命令通りにしたくなりました。それから二人は、一しょに仲よくくらしてゆきました。私は、そろそろバクダッドのことを忘れはじめました。
しかし、ある日のことでした。大へんなことが起ってしまいました。というのは、私がふだん仲よくしていた、近所のおかみさんが死んだのです。大へん気の毒に思ったものですから、すぐおくやみに行きました。そして、
「あんまりくよくよなさらないように。おかみさんはああして、早くおなくなりなすっても、そのかわりにあなたが、長生きがおできになりましょうよ。」と、言いました。
その人は、うつむいたまま、じっと私の言うのを聞いていましたが、やがて、
「よしてください。どうして、あなたは、私がこれから長生きができるなんて、おっしゃるのです。私はもう二三時間したら、家内《かない》と一しょに、うずめられてしまう身じゃありませんか。……ああ、あなたはまだ、この国のおきて[#「おきて」に傍点]をご存じなかったのですね。ここでは、妻《つま》が死んだら、夫はそれと一しょにうずめられるのです。そしてもし、夫の方が先に死ねば、妻がそれと一しょにうずめられるのです。」
と、言うではありませんか。
「まあ、なんておそろしいことだろう。そんなことは、とてもほんとうとは思われない。」
私は、それを聞いて、こうさけびました。
それから、王さまに、このことをうかがいました。すると王さまは、ただそれは、この国のおきてなんだから、そうされるのだ、とおっしゃったきりでした。
それから、だれに聞いても、これをふしぎに思っている人はありませんでした。
まあなんてこわいことだろう、なんていやなことだろう、と思っているうちに、とうとうそれが、私の身の上にふりかかってきました。ある日のこと、私の妻が、病気になったのです。そして、わずかのわずらいの後、とうとう死んでしまったのです。
すると、町の人がやって来て、妻に一番いい着物を着せました。そして、髪《かみ》には宝石をかざりました。それから、高い山の上へ運んで行きました。
山の上には、石が一つおいてありました。その石を持ち上げると、下は深い深い穴になっていました。そしてその中へ、私の妻は落されてしまいました。
私は、どうか助けてくださいと、ずいぶんたのみました。しかし、だれも、私が何を言っているのか、聞こうともしませんでした。せっせと、小さいパンを七つと、水さしにいっぱいの水とを用意していました。そして、それを私に持たせて、穴の中へつき落し、石のふたをしてしまいました。
私はたった一人、暗い穴の中に、とじこめられてしまったのです。しばらくの間は、泣くにも泣かれませんでした。
それから七日の間は、ともかくも、少しながらもパンと水がありましたから、生きていることができました。しかし、それもとうとうなくなってしまった時、私は、いよいよ死ぬのだなと思いました。
その時、急に、ほら穴の向うがわに、何か生きた物がとびこんで来たのが、目に入りました。そして、その小さな、ねずみ色をしたものが、私の前をぴょんととんで行きました。
私は、はっと立ち上りました。そして、そのあとを追いました。すると、まもなくそれが、岩のわれ目の中へ入って行きました。私もまた、思いきって、その中へとびこみました。中は大へん、きゅうくつでした。おしつぶされるような思いをしながら、なおもそのあとをつけて行きました。そして、これは、ずいぶん来たもんだな、と思った時でした。気持のいい海の風が、熱《あつ》くなっていた私のほおに、さっと吹いてきたのです。まもなく私は、ほら穴からぬけ出すことができました。そこは、青々とした空の下の海べでした。
私がついて来た、小さなけものは、きっと、この道から入ったのでしょう。それで、出る時、私に道|案内《あんない》をしてくれたようなものでした。
それからまた、私は勇気を起して、もと来た道へ引き返しました。そして、ほら穴の中にちらばっていた、宝石を拾いあつめ、それを、こうりにつめて、また海べへ出て来ました。そして船が来るのを待つことにしました。
一日じゅう私は、じっと沖を見つめていました。
やっと次の朝になって、うれしや、とうとう一そうの船を見つめることができました。私は、さっそく、ずきんをといてふりました。それから、大きな声で呼びました。すると、まもなく、ボートがおろされて、私の方へこいで来ました。
「どうして、こんなところへ、いらっしゃったのです。私たちはまだ、ここの海岸に人がいたのを、見たことがありませんよ。」
と、ボートの水夫たちが言いました。
その時、私はどうしても、墓穴《はかあな》から出て来たのだとは、言うことができませんでした。もしも、もとのところへつれ返されたら、大へんだと思ったものですから。……それで、
「二三日前、難船《なんせん》して、やっと、このこうりだけ持って上ったのです。」と、言っておきました。
つごうのいいことには、水夫たちは、もう何にも問いませんでした。そして、すぐにボートをこぎ出して、私を本船へつれて行ってくれました。
こんなふうにして、また無事に帰って来ました。もちろん、前よりも一そう金持になりました。そして、あんなおそろしい目にあっても、助かったとは、まあなんてありがたいことだろう、と思ったのであります。
ここで、シンドバッドはやめました。そして、ヒンドバッドは、また百円もらい、またあすの晩も来るように、その時は五度めの航海の話をするから、と言われました。
五|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
さあ、これから、五度めの航海の話をはじめようと思います。(あくる晩、みんながテーブルのまわりに腰をかけた時、シンドバッドは、こう口をきりました。)
ご存じのように、今まで、ずいぶんひどい目にあっていながら、私のぼうけんずきは、やっぱりやみませんでした。家の中にじっとしていることがじれったくて、またまた、海へ行きたくてたまらなくなりました。
そして、こんどは、ひとの船に乗らないで、自分の船を作りました。そうすれば、どこへだって、行きたいと思うところへ行けますし、したがって、したいと思うことをやって、商売ができるわけです。
さてこの船は、かなり大きゅうございましたので、ほかに五六人の商人も乗りこんでもらいました。そしてまた、海へ乗り出しました。
それから、五つ六つの港へつきました。商売は、とんとんびょうしにはこびました。
するうち、ある日のこと、ふしぎな白い円屋根のある、沙漠《さばく》のような島へ来ました。私はすぐに、ははあ、ロックの卵だなと思いました。しかし、ほかの人は、まだ、だれも見たことがないというのです。そして、ぜひ見てゆきたいから、上らせてくれというのです。仕方がないので、ゆるしました。
その人たちは、近づいて行って、ふしぎそうに見ていました。ちょうどその時は、ロックのひな[#「ひな」に傍点]が今にもかえりそうになっていた時で、少し口ばしで、からを破ろうとしておりました。
すると商人たちは、私がとめるのも聞かないで、この卵をこわしてしまいました。そして、ひなのロックを引き出して、りょうりをしはじめました。私は、そんなことをすると、きっとあとでこわい目にあうにちがいないから、およしなさい、およしなさい、と言ってとめました。しかし商人たちは、かまわずどんどん、いろんなごちそうに作っていました。
すると、それからすぐでした。急に空がまっ暗になって、あのロックの大きな黒いつばさが、私どもの頭の上へおおいかぶさってきました。
私たちは命からがら船へ帰りました。船長は、さっそく船を出しました。親鳥が大へんおこっているということが、わかりましたから。
おそろしい大きな鳥は、すぐに海の上へ追っかけて来ました。空は見る見るまっ暗になってしまいました。見上げると、大きなつばさがぴゅーんぴゅーんと風をきっています。とがった爪の間には、大きな石を、いくつもいくつも持っていました。それは石というよりも、岩と言いたいくらい大きなものです。
船のま上へ来た時、持っていた石を一つ落しました。石はびゅーっとうなりを立てて落ちて来ました。さいわい、それは船にはあたりませんでした。すぐ近くの海がまっ二つにさけて、船のまわりには、海の底《そこ》の砂のまじった波が、まるでかべのように立ち上りました。
やれうれしやと思って、上を見上げると、まあどうしましょう、もう一羽、ロックがやって来ているのです。そして、しっかりとねらいを定めて、今にも石を落そうとしているのです。
ああ、とうとう船はだめでした。みじんにくだかれてしまいました。つぶされて死ななかったものは、海の中へほうり出されて、波のまにまに沈んでゆきました。
しかし、運のいいことには、私は、浮いていた板にとりつくことができました。そして、足をぶらぶらさせているうち、ある島へつきました。
ほんとうに全く、この島にこそは、私はおどろいてしまいました。きっと、世界で一ばん美しい島だろうと思います。
今まで、たべたこともないような、おいしい果物や、それはそれは美しい花が、そこら一面にあって、きれいな小川が、さらさらと流れていました。
私は、これまでのおそろしさも、つかれも忘れてしまって、凉しい木《こ》かげに休みました。
あくる朝、散歩《さんぽ》かたがた、果物を取りに出かけました。そして、何だかあわれに見えるおじいさんが、小川のつつみに、じっとすわっているのに会いました。その人は、大そう年をとっているらしいのです。そして、さもさも弱っているようでした。私は大へんかわいそうになってしまいました。それで、
「もしもし、ここで何をしていらっしゃるのですか。難船《なんせん》でもなすったのですか。」
と、聞いてみました。
けれども、そのおじいさんは、悲しそうに首をふっただけでした。そして、この小川を渡らせてくれと、手まねでたのみました。
私は、きげんよく、よろしいと言って、しゃがんで、その人を肩ぐるまにのせました。おじいさんは、思ったよりも重うございました。
私は小川を渡りました。それから、その人をおろそうとしました。するとどうでしょう、おじいさんは、おりようとはしないで、両方の足でますます私の首を強くしめていくのです。私は息《いき》ができなくなりました。そしてとうとう、あっと言ったきり気をうしなってしまいました。
それからしばらくして、気がつきましたけれど、やっぱりおじいさんは、私の肩にまたがっていました。そして、やせてとがったそのひざで、私をうんうんつきはじめました。それがとても痛いのです。私はたまらなくなって、起きて、また歩きはじめました。そして、その人が行けという方へ行くよりほか、どうにもしようがありませんでした。
それよりは、毎日々々、口では言えないほどの苦しみをしました。一分間も、へんなおじいさんは、私の肩からおりようとしないのです。私が寝ている時でも、そうなのです。そして、はじめのように、とがったひざで、うんうん私をついては、おっ立ててゆくのです。そして、自分はしょっちゅう、果物を取ってたべているのです。私も、もとより取ってたべました。そうしなければ、お腹《なか》がすいて、死んでしまいそうですからね。
さて、ある日のこと、私どもは、大へんたくさんひょうたん[#「ひょうたん」に傍点]がなっているところへ来ました。そして、そのうちにたった一つ、中がからになって、ひぼしになっているひょうたんがありました。私はそれをとって、その中へ、ぶどうの汁《しる》をしぼりこみました。そして、日のよくあたりそうなところへ、ぶらさげておきました。
それからまた、あちらこちらと歩きまわって、四五日たってから、ひょうたんのところへ行ってみますと、どうでしょう、おいしいおいしい、ぶどう酒《しゅ》ができているではありませんか。
私は、大よろこびで、ぎゅうぎゅう飲みました。すると、急に元気が出てきて、何だかうれしくなりました。そして、思わず歌をうたったり、おどったりしました。
肩にいたおじいさんは、びっくりしてしまいました。そして、手まねで、自分にも飲ませてくれ、と言いました。私は仕方がないので、ひょうたんを渡しました。
そのひょうたんは、大へん大きなものでした。それで、お酒もずいぶん入っていたわけです。おじいさんは、それを一しずくも残さないまで、飲んでしまいました。それから、へんな声で、何かしゃべりはじめました。そして、しだいに、足をゆるめてゆきました。
私は、この時とばかり、うんと力をこめて、おじいさんを、地面の上へほうり出しました。おじいさんは、投げ出されたまんま、起き上ろうともしませんでした。
私は、やっと重荷《おもに》をおろして、せいせいしました。そして、にこにこしながら、海べの方へ歩いて行きました。
ちょうど海べには、五六人の水夫が、たるを持って、水をくみに上って来たところでした。私を見て目をまるくしながら、
「お前さん、こんな島へ、何をしに来たんだね。」こうたずねました。
私は、船がこわれてからの、いちぶしじゅうを話しました。すると、その人たちは、ますますおどろいてしまいました。そして、
「そんなあぶない目にあっても、助かったなんて、まあ、なんてお前さんは、運のいい人なんだろう。だが、その肩にのっかってたというおじいさんはね、海じじいと言って、そいつにつかまったが最後、助かりっこはないんだよ。」
と、言いました。それから、私を船へつれて行きました。
そのうち、船は大きな港につきました。その港の町の家は、みんな石で作ってありました。
そこで、今まで大へんしんせつにしてくれた一人の商人が、私に、みんなと一しょに、やしの実を取りに行かないか、とすすめました。そして、
「これをお持ちなさい。」と言って、大きな袋《ふくろ》を渡しました。それから、
「けっして、みんなにはぐれて、かってなところへ行っちゃいけませんよ。みんながするようにするんですよ。」と、言いました。
さて、それから私たちは、ずいぶん遠い、やしの木の森へ行きました。
やしの木は、大そう背が高くて、まっすぐで、おまけに幹《みき》がすべすべしていました。私は、これでは、とてものぼれないだろうと思いました。そして、いったいどうして、実をとるのだろうかと、待っていました。
それから、みんなは、うんとやしの木のそばへ近づきました。その時、私は、木の枝に、猿《さる》がたくさんのぼっているのに、気がつきました。そして、その猿は、私たちを見つけるが早いか、ぐんぐん上の方へのぼってゆきました。すると、みんなは一せいに、この猿に向って、石を拾っては投げ、拾っては投げはじめました。
私は、ずいぶんひどいことをすると思いました。それで、
「どうして、そんなことをするんです。猿は何にも、悪いことなんか、しやしないじゃありませんか。」と、聞きました。
しかし、すぐに、そのわけがわかりました。猿が、やしの実をもいで、どんどん、こちらへ投げはじめましたから。
私たちは、大いそぎで、そのやしの実を拾って、袋へ入れました。それから、またまた石を投げました。すると、猿も、ますます、やしの実を投げてよこしました。
みんなの袋がいっぱいになってから、町へ帰りました。そして商人に売りました。
私は、それからまもなく、バクダッドへ帰って来ました。帰りみち、方々の島へよって、はっかだの、きゃらの木だの、真珠《しんじゅ》だのを買いあつめました。
そして、家へ帰ってから、それらの品々を売りました。すると、どうして使っていいかわからないほど、たくさんのお金が、手に入りました。
ここで、シンドバッドは、ごちそうを持って来るようにと、言いつけました。そして、ヒンドバッドが家へ帰る前に、また百円やるようにとも言いました。召使はその通りにしました。
次の夜、たくさんのお客さまと、荷かつぎのヒンドバッドとが、いつものところへ腰をかけた時、シンドバッドは、六度めの航海の話をはじめました。
六|度《ど》めの航海《こうかい》の話《はなし》
こんどは、まる一年家にいました。その間、また航海に出るしたくをしていました。友達《ともだち》や、しんるいの者たちは、行かせまいとして、いろんなことを言って、引きとめにかかりましたが、私はどうしても、しょうちしませんでした。
まもなく、こんどは、うんと長い航海をするつもりで、出かけました。
けれども、この航海は、はじめから、つごうよくゆきませんでした。すぐに、ひどい大あらしにあって、風のまにまに、あちらこちらと流されたあげく、とうとう、船長も、水先《みずさき》案内も、どこをどう走っているのか、だんだん、たよりなくなってゆくばかりでした。
すると、ある時のこと、にわかに船長が、ずきんをぬぎ捨てたかと思うと、ぐんぐんかみの毛を引きむしって、気ちがいのようになってしまいました。
みんなは、びっくりして、ばらばらっと、船長のそばへかけよって行きました。
「どうしたんです、どうしたんです。気をしっかり持ってください。」と、てんでに言いました。
すると船長は、
「もうだめです、もうだめです。船は、あぶない潮《しお》の流れの中へ入ってしまいました。もう二三分したら、何もかも、みじんにくだけてしまうでしょう。」と、言ったのでした。
全くでした。船長の言葉が終るか終らないうちに、船は、きみわるく、すうーっと走り出したかと思うと、見る見る、けわしい山のすその、岩の折れかさなった海岸へ、どんとつきあたってしまいました。そして、粉《こな》みじんになってしまいました。
けれども、みんな、ふしぎに助かりまして、つんでいた荷物と、少しばかりの食べ物と一しょに、岩の上へ打ち上げられたのです。
海岸には、難破船《なんぱせん》のかけらと、まっ白になった骨とが、たくさんちらばっていました。
船長は悲しげに、
「さあ、皆さん。死ぬ用意をしましょう。今までに、この海岸に打ち上げられて、助かった人はないのです。ごらんの通り、後はとてものぼることのできない山ですし、また、助け船が来ることのできるところでもありませんから。」と、言いました。
しかし、そうは言っても、食べ物をみんなに分けてくれました。ともかくも、生きていられるかぎりは、生きていた方がいいと思ったからでした。
さて、この島で私がおどろいたことは、大へんきれいな川が、山から流れ出ているのですが、それが、海へ流れ入らないで、海岸にそって少し流れてから、また、山すその岩でできている、ほら穴の中へ流れこんでいることでありました。そして、そのほら穴の中をのぞいてみますと、その入口の岩は、宝石がはめこんであるように、たくさんきらきら光っています。川底にもダイヤモンドだの、宝石だのが、ちらばっていました。それから、海岸の、どんなすみっこのようなところにも、難破船から打ち上げられた荷物が、ころがっていました。
さて、私の仲間は、食べ物がなくなるにしたがって、一人々々と死んでゆきました。それを私は、次から次とうずめてやりました。
そして、とうとう、私一人になってしまいました。私はもともと、何でも、ほんの少ししかたべないたちでしたから、それで私の食べ物が、一番おしまいまで残っていたのであります。
「ああ、悲しいことだ。私が死んだら、だれがうずめてくれるのか。ああ、どうしてももう、自分の国へ帰ることはできないのか。」
ある日のこと、そんなことを思いながら、川のふちを歩いていました。そして、岩穴の中へ流れこんでゆく水を、じっと見つめていました。そのうち、ふと、ある考えが浮かびました。
それは、この川は、一たんは山の中へ流れこんでいるけれど、きっと、またどこかへ流れ出ているにちがいない。そして、この川を下《くだ》ってみたら、ひょっとしたら、助かることができるかもしれない、ということでした。
それから、急に元気が出てきて、海岸にちらばっている、木や板を拾って来て、丈夫ないかだを組みました。そして、たくさんのダイヤモンドだの、ルビーだの、難破船の荷物だのを、つみました。それから、忘れないで、少し残っていた食べ物もつみました。
そして、よくよく気をつけて、いかだを岸からはなしました。
すると、すうーっと気持よく走り出して、すぐに、まっ暗なほら穴の中へ入りました。どんどんどんどん、私はそのまっ暗な中を流れてゆきました。川幅《かわはば》は、だんだんせまくなって、天じょうも、しだいしだいに低くなってゆきました。そして、頭をごつんごつんと打って、だんだん苦しくなりました。それで私は、いかだの上へぺちゃんこに、腹ばってしまいました。
やがて食べ物も、とうとうみんなたべてしまいました。こんどこそ、いよいよ死ぬのだ、と私はあきらめました。そして、いつのまにか、ねむってしまいました。
何時間も何時間も、そのままでいたらしいのです。何だか、がやがやいう声がするように思って、私はふと、目を開きました。
ああ、その時、どんなによろこんでとび起きたか、お察しください。私の目に、青々とした大空が入ったのです。川はしずかに、広々とした、たんぼの中を流れていました。
へんな声だと思ったのは、黒んぼが大勢《おおぜい》よってたかって、私のいかだを、土手の方へ引っぱっていこうとしていたのでした。
私には、黒んぼの言っていることが、ちっともわかりませんでした。しかし、その中にたった一人、アラビヤの言葉を話せる男がいました。それが、こう言うのです。
「まあ、しずかにしていらっしゃい。……あなたはいったい、だれですか。どこからいらっしったのですか。私どもはこの国の者です。たんぼへ出て働いていますと、いかだが流れて来て、その上にあなたがねむっていらっしゃるので、お助けしたのです。さあ、どうか、ここまでいらっしゃったわけを話してください。」
「ありがとう、いや、どうもありがとう。お話ししましょう。ですけれども、その前に、何かたべる物をくださいませんか。お腹がへって、声が出そうもないのです。」
黒んぼたちは、すぐに、食べ物を持って来てくれました。それで、私はやっと力がついて、気分もよくなりましたので、何もかも、くわしく話してやりました。
すると、みんなは、
「この人を、王さまのお目通りへ、つれて出よう。」と、口をそろえて言いました。
それから、私に、王さまはセレンジブさまというお名前で、世界じゅうで一番えらくて、一番の金持だと、話して聞かせました。
私は、よろこんで、ついて行くことにしました。もちろん、宝石などの入れてある、こうりも持って行きました。
セレンジブ王の御殿は、大へんりっぱなものでした。私は、まだ生れて一度も、あんなりっぱな御殿を見たことがありません。
王さまは、大そう私をいたわってくださいました。そして、私の申し上げる話を、大へんおもしろそうにお聞きになりました。
そして、私が、どうぞ自分の国へ帰らせてくださいませ、とお願いしますと、すぐに、船を出すようにと、家来にお命《めい》じになりました。それから、ご自身で、バクダッドの王さまへあてて手紙をお書きになって、私には、りっぱなみやげ物をくださいました。
こんなにして私は、バクダッドへ帰って来ることができたのであります。
そしてすぐに、カリフさまの御殿へ行って、手紙と、セレンジブ王からいただいたみやげ物とを、さし上げました。
「まあ、このコップは、たった一つのルビーをくりぬいて、こしらえたものじゃないか。おやおや中には、まあ、りっぱな宝石で、もようがかいてあるんだな。おや、これはまた、象《ぞう》でものみそうな、大きな蛇の皮じゃないか。ああ、背中の紋《もん》がまるで、金のように光ってるな。これさえあれば、どんな病気だってなおせる。」
こんなふうに、カリフさまは、手紙と、みやげ物を持って、大よろこびなさいました。それから、
「さあ、シンドバットや、セレンジブ王が、どんなにお金持で、どんなにりっぱであるか、話してごらん。」と、おっしゃいました。
私は、
「陛下、それは、とても私のつたない言葉では、申し上げることができないかと存じます。セレンジブ王は、いつも大きな象に乗っておいでになりますが、おそばには、金色の着物を着た千人の騎兵《きへい》が、つかえているのでございます。そして、王さまの金のほこ[#「ほこ」に傍点]には、エメラルドでかざりがついております。まあ、申してみれば、ソロモン王のような、くらしをあそばしていらっしゃるとでも申しましょうか。」
と、お答えしました。
王さまは、熱心にお聞きになりました。そして、私に、ごほうびをくださいました。
私は、家の者や、友達が待っているだろうと思って、大いそぎで家へ帰りました。それから、持って帰った宝物を売って、貧乏人にほどこしをしました。
その後は、しずかに、楽しい日をおくりましたので、今までの、おそろしかったことや、つらかったことは、遠い昔のゆめではないかとさえ、思うようになりました。
これで、シンドバッドは、第六航海の話を終りました。そして、お客さまたちに、あしたの晩もまた来てください、と言いました。
あくる晩、また、お客さまが、みんなテーブルについて、ごちそうがすんだ時、シンドバッドは、いよいよ一番おしまいの航海の話をはじめました。
一|番《ばん》おしまいの航海《こうかい》の話《はなし》
さて、六度めの航海の後は、私はもう、けっしてどこへも行くまいと、心にきめていました。もう、ぼうけんがしたいとも思いませんでした。
しかし、ある日、友達を呼びあつめて、ごちそうをしています時、召使の一人が入って来て、
「ただ今、カリフさまのお使がお見えになって、だんなさまにお目にかかりたい、とおっしゃいますが。」と、言うのです。
私は、お使を通させて、さて、
「どういうご用でございましょうか。」と、聞きました。
するとお使は、
「カリフさまが、お召しでございます。すぐにおいでください。」と、言いました。
仕方がないので、私はすぐに御殿へ出かけました。そして、王さまの前に出ました。
「シンドバッドや、ひとつお前にたのみたいことがあるのだがね。それは、ほかでもない。わしは、セレンジブ王に、手紙と、おくり物とを、さし上げたいと思うのだが、お前、持って行ってくれまいか。」
と、王さまがおっしゃいました。
私は、はっと首をうなだれました。私の顔は、きっと、死んだ人のように、まっ青《さお》になっていたことでしょう。
「陛下、せっかく陛下のおたのみではございますが、私は、もうけっして、旅へは出まいと、神さまにお約束しましたので。」
やっと、こうお答えしました。それから、ぽつりぽつりと、今まで六ぺんの航海で出あった、いろいろさまざまなぼうけんのお話をしました。
王さまは、びっくりなさいました。けれども、どうしても、この使にだけは行ってくれ、とおっしゃるのです。
おことわりがしきれなくなって、私は「しょうちしました。」と申し上げてしまいました。
カリフさまのお使の船は、バクダッドを出立しました。
それから、おだやかな航海をつづけた後、セレンジブの島へつきました。
町の人たちは、大よろこびで、迎《むか》えに来てくれました。
私は、さっそく御殿へうかがって、役人に、私の来たわけを話しました。
役人は、私を御殿の中へつれて行きました。やがて私は、王さまの前に出ました。
王さまは、
「おお、シンドバッド、よく来てくれたね。わしは、あれからも時々お前のことを思い出して、もう一度会いたいと、思っていたんだよ。」
と、おっしゃいました。
私は、カリフさまのお手紙と、見事なおくり物とを、さし上げました。
王さまは大へんおよろこびになりました。
二三日いた後、私は帰ることにしました。そして、自分の国をさして、船をいそがせました。けれども、またまた、帰りの船で、悪いことに出あってしまったのです。
ほかでもありません、私たちは海賊《かいぞく》にあったのです。そして、船はとられるし、殺されなかった者は、みんなどれい[#「どれい」に傍点]に売られてしまいました。
私もまた、ある金持の商人のところへ、どれいに売られてしまいました。
商人は、私を買って帰ってから、
「お前は、職人かね。」と、聞きました。
「いいえ、商人です。」と、私は答えました。すると、
「では、矢を射《い》ることができるかね。」と、聞きました。
それで私は、できます、と言いますと、商人は、私に弓と矢を渡して、大きな森へつれて行きました。それから、木へのぼれと言いました。そして、
「そこで、じっと番をしていて、象がやって来たら、射るのだよ。もし、うまくあたったら、すぐに知らせにおいで。」と言って、帰って行きました。
一晩じゅう、私は見はっていました。けれども、とうとう来ませんでした。
しかし、夜があけてから、とてもたくさんの象が、ぞろぞろとやって来ました。
そこで私は、矢つぎばやに、五六本、射てみました。
すると、大きな象が一ぴき、ごろりと地の上へたおれました。ほかの象はおどろいて、みんなにげて行きました。
私は、木からおりて、主人の商人のところへ、知らせに行きました。
それから、また主人のつれ立って帰って来て、大きな象を地にうずめ、そこにしるしをつけておきました。こうしておいて、あとで、きばを取りに来るのです。
その後、ずっと私は、この仕事ばかりさせられました。そのうち、またこわい目にあうことになりました。
ある晩のこと、象が、にげて行くと思いのほか、私ののぼっている木のまわりを、とりかこんで、大きな声でうなりながら、足ぶみをしはじめたのでした。それはまるで、大じしんのようでした。そして、とうとう木の根を、引きちぎってしまいました。
木は、めりめりと大きな音を立てて、たおれてゆきました。私は、あまりのおそろしさに、気をうしなってしまいました。
しかし、すぐに気がつきましたが、その時、象は、その鼻《はな》で私をぐるっとまいて、高く持ち上げ、ぴょんと背中にのせました。私は一生けんめいに、背中にかじりつきました。
すると象は、私をのせたまま、歩き出しました。
やがて、森をぬけて、小山のふもとにつきました。この小山には、私はおどろいてしまいました。白くさらされた象の骨と、きばとで、うずまっているのです。
象は、しずかに、私を地の上へおろすと、どこかへ行ってしまいました。
私は、びっくりして、この象げ[#「象げ」に傍点]の山を、しばらく見つめていました。そして、象がこんなにかしこいちえを持っているのに、感心したのでした。
象は、私をここへつれて来て、自分たちを殺さないでも、こんなにたくさんの象げが取れるということを、教えるつもりだったのに、ちがいありません。
私は、ここはきっと、象の墓地《ぼち》なのだろうと思いました。
私はさっそく、きばを二三本拾って、町へいそいで帰りました。主人に、このことを話して聞かせたいと、思ったものですから。
主人は、私の顔を見ると、走って出て来ました。そして、
「まあ、シンドバッドや。私は、あの木の根が掘り返されていたもんだからね、お前は、死んだものだと、思いこんでいたのだよ。もうもう、お前には会われないとばっかり、思っていたのだよ。」と言って、うれし涙《なみだ》を流しました。
私は、さっそく、象げの小山の話をしました。
主人は、それを聞くと、よろこんで、とび上りました。
それから二人で、一しょに小山へ行きました。私の言った通りだったものですから、主人はますます目をぱちくりさせて、しばらくは物さえ言いませんでした。
やがて、
「シンドバッド、もうお前を、どれいでなくしよう。これからは、お前のすきなようにおし。それから、この象げを、お前も取ったらどうだね。うんと取って、お金をもうけたらいいだろう。……ああ、今まで、私のどれいが何人も何人も、この象がりのために命を捨《す》てたけれど、もうもうこれからは、そんなことをしなくても、よくなったんだねえ。まあ、これだけの象げがあったら、今に島じゅうが大金持になってしまう。」
と、言ったのでした。
それで私は、もうどれいではなくなりました。そして、大へんていねいにしてもらいました。
やがて、象げ船が入って来る時分になって、私は、この島にさようならをしました。そして、象げと、ほかの宝物を船にいっぱいつんで、ふるさとをさして帰って来ました。
バクダッドにつくと、私はすぐその足で、カリフさまの御殿へまいりました。
カリフさまは、私を見て、大へんおよろこびになりました。そして、
「シンドバッドや、わしは、ずいぶん心配していたよ。何かまた、へんなことが起ったのではないかと思ってね。」と、おっしゃいました。
それで私は、海賊《かいぞく》の話と、象の話とを、お聞かせしました。
カリフさまは、びっくりなさいました。そして、私の七へんめの航海の話を、すっかり、金の字で書きしるして、カリフさまのお宝物として、だいじにしまっておくようにと、家来にお言いつけになりました。
それから私は、家へ帰って来ました。そして、それからは、ずっと、のどかに、家にくらしています。
これで、シンドバッドの航海の話は終りました。それから、ヒンドバッドの方へ向いて、
「さて、ヒンドバッドさん。これで、どうして私が、こんな金持になったかが、おわかりになったでしょう。もう、私が、こうして、のんきにくらしているのを、不《ふ》つごうだとは、お思いにならないでしょうな。」
と、言いました。
すると、ヒンドバッドは、シンドバッドの前へ出て、ていねいにおじぎをして、その手にキッスしました。
「だんなさま、あなたさまは、そんなつらい目におあいになっても、よくがまんをなすったからこそ、こんなお金持におなりになったのでございます。あなたさまのなすった苦労《くろう》にくらべますと、私の苦労なんか、足もとへもよれないほどでございます。あなたは、きっと、行末《ゆくすえ》ながく、お仕合せにおくらしになるでございましょう。」
と、言いました。
シンドバッドは、この答えを聞いて、大へんよろこびました。そして、ヒンドバッドに、これから毎晩、ごちそうをするから、たべに来るように、と言いました。そしてまた、金貨を百円やりました。
それで、その後、ヒンドバッドは、とうとうシンドバッドのぼうけんの話を、残らずおぼえてしまいましたとさ。
2008年10月22日
読み上げソフトはすごいな。
ドキュメントトーカーを使うと文字を音声で読み上げてくれる。
コピーできる文章なら何でも読み上げてくれます。
無料版はダウンロードすると使えるが、宣伝が読み上げ文の中に挿入される。
声は女性、男性など多種類あり、読み上げスピードも変化させることができる。
ためしにSLの記事を読み上げてみました。
これは便利です。
読み上げる声を録音しました。
最初は普通の速度で、2回目は速度をあげました。
フリー版なので宣伝が入ってます。
http://www.createsystem.co.jp/
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2008年09月14日
3Diのインブラウザビュアー
http://www.secondtimes.net/news/japan/20080910_3di.html
インターネットエクスプローラーで動かせるということは、低スペックのノートパソコンでもSLができるようになる
ということなのか? もしそうなら すごいな。
インブラウザビュアー
インターネットエクスプローラーで動くブラウザ
Open SIMとSecond Lifeどちらでも使える
3Dを使ったことがない初心者に適したものにしている。
インブラウザビュアーをフリーで配布するみたい。
アバターの影も映っている
インターネットエクスプローラーで動かせるということは、低スペックのノートパソコンでもSLができるようになる
ということなのか? もしそうなら すごいな。
インブラウザビュアー
インターネットエクスプローラーで動くブラウザ
Open SIMとSecond Lifeどちらでも使える
3Dを使ったことがない初心者に適したものにしている。
インブラウザビュアーをフリーで配布するみたい。
アバターの影も映っている
2008年09月12日
3D写真ビューアー『Photosynth』
面白いソフトを見つけました。
といっても私が知らないだけで、2年前くらいから注目されているソフトらしいのですが
写真を適当にとってPhotosynthを利用すれば、写真が3Dで見えるようにソフトが配置してくれるらしい。
多数の写真で3D空間を表現できるということです。
これを使って、セカンドライフの中を写真を取り、3D表現できるのかな?
けっこう難しそうだから、できないかもしれないけど時間があれば挑戦してみたいな。
http://www.popxpop.com/archives/2007/02/3dphotosynth.html
Photosynthのサイト
http://photosynth.net/Default.aspx
パソコンの仕様はハイスペックが必要みたいです。
Minimum System Requirements
Important: Photosynth makes heavy use of your graphics hardware. If you have an older graphics system, Photosynth may not run. Also, Photosynth requires that your graphics acceleration be set to full.
Operating System: Only Windows XP (SP2 or SP3) and Windows Vista are supported at this time. Running Windows on a Mac? Photosynth runs under some VM configurations. Check out our help site for an updated list.
Web Browser: Internet Explorer 7, Firefox 2, and Firefox 3
Memory: 256 MB of memory is a bare minimum; 1GB is recommended.
Graphics: Minimum 32MB of graphics memory required, 64MB or more is recommended. Photosynth runs on some DirectX6 capable cards and all DirectX7 cards.
といっても私が知らないだけで、2年前くらいから注目されているソフトらしいのですが
写真を適当にとってPhotosynthを利用すれば、写真が3Dで見えるようにソフトが配置してくれるらしい。
多数の写真で3D空間を表現できるということです。
これを使って、セカンドライフの中を写真を取り、3D表現できるのかな?
けっこう難しそうだから、できないかもしれないけど時間があれば挑戦してみたいな。
http://www.popxpop.com/archives/2007/02/3dphotosynth.html
Photosynthのサイト
http://photosynth.net/Default.aspx
パソコンの仕様はハイスペックが必要みたいです。
Minimum System Requirements
Important: Photosynth makes heavy use of your graphics hardware. If you have an older graphics system, Photosynth may not run. Also, Photosynth requires that your graphics acceleration be set to full.
Operating System: Only Windows XP (SP2 or SP3) and Windows Vista are supported at this time. Running Windows on a Mac? Photosynth runs under some VM configurations. Check out our help site for an updated list.
Web Browser: Internet Explorer 7, Firefox 2, and Firefox 3
Memory: 256 MB of memory is a bare minimum; 1GB is recommended.
Graphics: Minimum 32MB of graphics memory required, 64MB or more is recommended. Photosynth runs on some DirectX6 capable cards and all DirectX7 cards.
2008年08月25日
slmameにも利用できる超簡単アンケートフォーム!
http://form.mag2.com/
簡単にアンケートが作れます。
こんなアンケートを作ってみました。
だれでも簡単にできます!
セカンドライフアンケート
http://form.mag2.com/crunouvaid
私はYouTube動画アノテーション広告で依頼を受けるときにメールより便利なので使ってます。
http://form.mag2.com/uaiwaiuiku
簡単にアンケートが作れます。
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だれでも簡単にできます!
セカンドライフアンケート
http://form.mag2.com/crunouvaid
私はYouTube動画アノテーション広告で依頼を受けるときにメールより便利なので使ってます。
http://form.mag2.com/uaiwaiuiku
2008年08月12日
Googleストリートビューで場所を紹介する。②
Googleストリートビューで場所を紹介するには地図を埋め込みすれば便利です。
ただ弱点は埋め込み地図が表示されるまで時間がかかる場合があります。
それで前回とは違い、写真をクリックすれば、場所が表示できるようにしました。
セカンドライフで有名なバーチューブをGoogleストリートビューで案内
渋谷センター街の外れ、こぢんまりした洋服店やレコードショップが入居する古い雑居ビルに、一風変わったバーがある。店内で動画を撮影し、「YouTube」をはじめとした動画投稿サイトに、その場で投稿できる設備を備える「BarTube(バーチューブ)」がそれだ。この店を経営する神田敏晶さんはIT業界などを中心に活動するビデオジャーナリスト。
以前は同じ場所で、友人の招待で入店できる「リアルSNS」をコンセプトにした「dotBAR(ドットバー)」を開いていたが、2006年11月に現在の形態に切り替えた。そのユニークな発想が話題となり、YouTubeのCEOや、「セカンドライフ」を経営するリンデン・ラボ社のCEOも、来日時に来店している。
BarTube
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町33-13 クスハラビル3FC
Tel: 03-5458-6226
道のり: 渋谷駅→ハチ公口で降りる→センター街を突き当たりまで歩く→マックの前も神座の前も通り過ぎて、T時路に辿り着く一歩手前左側にあるオレンジ色のビストロ・ラ・クッチーナhttp://u.tabelog.com/00036603/r/rvwdtl/565332/photo/2/の入っているビルの3Fの右手側

ただ弱点は埋め込み地図が表示されるまで時間がかかる場合があります。
それで前回とは違い、写真をクリックすれば、場所が表示できるようにしました。
セカンドライフで有名なバーチューブをGoogleストリートビューで案内
渋谷センター街の外れ、こぢんまりした洋服店やレコードショップが入居する古い雑居ビルに、一風変わったバーがある。店内で動画を撮影し、「YouTube」をはじめとした動画投稿サイトに、その場で投稿できる設備を備える「BarTube(バーチューブ)」がそれだ。この店を経営する神田敏晶さんはIT業界などを中心に活動するビデオジャーナリスト。
以前は同じ場所で、友人の招待で入店できる「リアルSNS」をコンセプトにした「dotBAR(ドットバー)」を開いていたが、2006年11月に現在の形態に切り替えた。そのユニークな発想が話題となり、YouTubeのCEOや、「セカンドライフ」を経営するリンデン・ラボ社のCEOも、来日時に来店している。
BarTube
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町33-13 クスハラビル3FC
Tel: 03-5458-6226
道のり: 渋谷駅→ハチ公口で降りる→センター街を突き当たりまで歩く→マックの前も神座の前も通り過ぎて、T時路に辿り着く一歩手前左側にあるオレンジ色のビストロ・ラ・クッチーナhttp://u.tabelog.com/00036603/r/rvwdtl/565332/photo/2/の入っているビルの3Fの右手側
2008年05月29日
頭の動きに合わせて視界が動く眼鏡ディスプレイ
http://www.ippinkan.com/VIDEOEYEWEAR_VR920.htm
http://www.tsukumo.co.jp/hmd/iwear_vr920.html
3D (立体映像) 対応 フェイスマウントディスプレイ
手元で操作しなくても、本体を傾けることで 画面内の見ている方向を変えることができます。
本体を掛けたまま上を見上げると、画面の中でも見上げた状態になり、 画面内を自然な感覚で
見渡すことができます。
大画面の没入型3D、ヘッドトラッキング、マイク、サウンドを内蔵した、世界初のインターネットコ
ミュニケーション、そしてゲームソリューションです。動く。見る。聞くことで他人とのコミュニケー
ションができます。
あー欲しいけど6万円は、
6万円あれば、DELLの格安パソコンが買える。
パソコン盗られたから、今はパソコンが一番欲しい。
http://www.tsukumo.co.jp/hmd/iwear_vr920.html
3D (立体映像) 対応 フェイスマウントディスプレイ
手元で操作しなくても、本体を傾けることで 画面内の見ている方向を変えることができます。
本体を掛けたまま上を見上げると、画面の中でも見上げた状態になり、 画面内を自然な感覚で
見渡すことができます。
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ミュニケーション、そしてゲームソリューションです。動く。見る。聞くことで他人とのコミュニケー
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あー欲しいけど6万円は、
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パソコン盗られたから、今はパソコンが一番欲しい。
2008年05月15日
YouTubeをSIM内 で見る。
SIM Communication にYoutube in Second Life のスクリーンを8枚置きました。
誰でも自由に見れるように設定しました。
Communication 148,62,27 にあります
見れない場合も結構ありますが、何度でも試せますのでご自由にご利用ください。
見れない場合はビュアーの下にあるカメラマークを再生にしたら見えると思います。
You tune read me
-----------------
You tuneとは?
-----------------
セカンドライフの土地にYoutubeの動画を設定できるようにします。これでサーバーを持たなくても気軽に動画配信できるようになりました。
もちろん既存のYoutubeの動画も設定できるのでみんなで"ほぼ"同時に同じ動画を鑑賞する事が可能です。
!!!!しかしすべての動画を視聴できる保障はありません!!!!
!!!Youtubeの状態、時間帯によって同じ動画でも再生できない場合があります!!!
-----------------
使い方
-----------------
You tune LogoとYou tune tunerを自分の土地(またはグループの土地)にRezします。
グループの土地に設置する場合はYou tune tunerをグループ所有にしてください。
You tune tunerをクリックしメッセージ受信可能状態にします
本機内部のnotecardを書き換えることで動画を登録することができます。
また複数のリストにも対応しており、下記の形式のnotecardを追加することでリスト管理ができます。
リストの書き方は以下のとおりです。
最初にダイアログに表示するタイトル、”,”をはさみ設定したいYoutubeのURLを入力してください。
ex)
------
ファーム富田,http://jp.youtube.com/watch?v=5VHiP4ZOwyg
ラベンダー畑駅,http://jp.youtube.com/watch?v=_SzGJqY9MZw
-----
ひとつのリストに登録できるのは”最大50URL”までです。それ以上は切り捨てられダイアログに登録されません。
!!!登録するタイトル、URLの長さによって登録可能URL数は減ります。!!!
なお一番下の行に改行は入れないでください。空のタイトルもエラーになります。
defaultを書き換え保存すると自動的に再読込が始まります。
読み込みが完了したら 本機をtouchします。
登録したタイトルがダイアログに現れるので、再生したい動画の番号のボタンを選択して設定完了です。
登録URLが6個以上の場合NEXTボタンを押すことで次のページに進みます。
土地に動画を設定し実際に再生されるまでしばらくかかる場合があります。なにもせずにしばらく待ってみてください。
-----------------
セキュリティ
-----------------
You tune LogoとYou tune tunerにそれぞれ入っているノートカードPIDの一行目に同じ文字列を記入することで
近場に複数のYou tuneが存在しても個別に制御できるようにします。
ほかのYou tuneと干渉を防ぐためにも変更しておきましょう。
-----------------
オプション
-----------------
option 各種設定が行えます。
change List リストを切り替えることができます。
!!!登録可能リストは12個までです。(default含み)!!!12個以上は切り捨てられます。
Type0 TypeD TypeM 変換サーバーの切り替えです。うまく再生されない場合に試してください。
Reset スクリプトをリセットします。
Force Play、Force Stop 同じ区画にいる人の再生状態を強制的に制御します。
OwnerON、OwnerOFF ONの状態でオーナーのみがリストを制御できます。OFFにすることで多人数で制御できます。
-----------------
注意
-----------------
ノートカードdefaultとPIDは削除しないでください。初期化時に読み込みます。
本機で設定できる土地は土地のオーナーと本機のオーナーが一致してなければいけません。
グループ所有の土地の場合はYou tune tunerをグループ所有にしてください。
年齢認証が必要な動画は再生できません。
年齢認証の必要の無い動画でも元動画によっては再生できない場合があります。
変換サーバーを使用しているのでサーバー仕様の変更等により本機が対応しなくなる場合があります。
環境によって個人個人で再生タイミングにばらつきがあります。完全な同期はとれていません。
連続再生には対応しておりません。
その他バグ等もありますのでご容赦ねがいます。
---------------
---------------
制作
---------------
D's factory
Dain Nakamura
本機をtouchします。

再生したい動画の番号のボタンを選択して設定完了です。

チェック カメラマークが再生になっているか
誰でも自由に見れるように設定しました。
Communication 148,62,27 にあります
見れない場合も結構ありますが、何度でも試せますのでご自由にご利用ください。
見れない場合はビュアーの下にあるカメラマークを再生にしたら見えると思います。
You tune read me
-----------------
You tuneとは?
-----------------
セカンドライフの土地にYoutubeの動画を設定できるようにします。これでサーバーを持たなくても気軽に動画配信できるようになりました。
もちろん既存のYoutubeの動画も設定できるのでみんなで"ほぼ"同時に同じ動画を鑑賞する事が可能です。
!!!!しかしすべての動画を視聴できる保障はありません!!!!
!!!Youtubeの状態、時間帯によって同じ動画でも再生できない場合があります!!!
-----------------
使い方
-----------------
You tune LogoとYou tune tunerを自分の土地(またはグループの土地)にRezします。
グループの土地に設置する場合はYou tune tunerをグループ所有にしてください。
You tune tunerをクリックしメッセージ受信可能状態にします
本機内部のnotecardを書き換えることで動画を登録することができます。
また複数のリストにも対応しており、下記の形式のnotecardを追加することでリスト管理ができます。
リストの書き方は以下のとおりです。
最初にダイアログに表示するタイトル、”,”をはさみ設定したいYoutubeのURLを入力してください。
ex)
------
ファーム富田,http://jp.youtube.com/watch?v=5VHiP4ZOwyg
ラベンダー畑駅,http://jp.youtube.com/watch?v=_SzGJqY9MZw
-----
ひとつのリストに登録できるのは”最大50URL”までです。それ以上は切り捨てられダイアログに登録されません。
!!!登録するタイトル、URLの長さによって登録可能URL数は減ります。!!!
なお一番下の行に改行は入れないでください。空のタイトルもエラーになります。
defaultを書き換え保存すると自動的に再読込が始まります。
読み込みが完了したら 本機をtouchします。
登録したタイトルがダイアログに現れるので、再生したい動画の番号のボタンを選択して設定完了です。
登録URLが6個以上の場合NEXTボタンを押すことで次のページに進みます。
土地に動画を設定し実際に再生されるまでしばらくかかる場合があります。なにもせずにしばらく待ってみてください。
-----------------
セキュリティ
-----------------
You tune LogoとYou tune tunerにそれぞれ入っているノートカードPIDの一行目に同じ文字列を記入することで
近場に複数のYou tuneが存在しても個別に制御できるようにします。
ほかのYou tuneと干渉を防ぐためにも変更しておきましょう。
-----------------
オプション
-----------------
option 各種設定が行えます。
change List リストを切り替えることができます。
!!!登録可能リストは12個までです。(default含み)!!!12個以上は切り捨てられます。
Type0 TypeD TypeM 変換サーバーの切り替えです。うまく再生されない場合に試してください。
Reset スクリプトをリセットします。
Force Play、Force Stop 同じ区画にいる人の再生状態を強制的に制御します。
OwnerON、OwnerOFF ONの状態でオーナーのみがリストを制御できます。OFFにすることで多人数で制御できます。
-----------------
注意
-----------------
ノートカードdefaultとPIDは削除しないでください。初期化時に読み込みます。
本機で設定できる土地は土地のオーナーと本機のオーナーが一致してなければいけません。
グループ所有の土地の場合はYou tune tunerをグループ所有にしてください。
年齢認証が必要な動画は再生できません。
年齢認証の必要の無い動画でも元動画によっては再生できない場合があります。
変換サーバーを使用しているのでサーバー仕様の変更等により本機が対応しなくなる場合があります。
環境によって個人個人で再生タイミングにばらつきがあります。完全な同期はとれていません。
連続再生には対応しておりません。
その他バグ等もありますのでご容赦ねがいます。
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制作
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D's factory
Dain Nakamura
本機をtouchします。
再生したい動画の番号のボタンを選択して設定完了です。
チェック カメラマークが再生になっているか
2008年05月12日
YouTube in Secocd Lifeの衝撃!
衝撃的な製品が発売されたとのことで
すぐに買いに行きました。
YouTube がSLの中で見ることができる。
500L$近い高い金額。
RLではたいした金額ではないけれど、SLでは大金です。
少し迷いましたが、結局購入しました。
でもそれ以上の価値があると思いました。
SLのなかでも画期的なものじゃないかと、私は思います。
これがあるとSLの中がかなり変わるのではないかと。
SLの会場でYouTubeの動画を見ながら、みんなで話し合う。
商品の説明はYouTubeの動画でできます。
今までのようにSSをアップロードする回数はへります。
YouTubeの動画は最大50URL登録できます。
明日 月曜日22時から
YouTubeの映像を流したり、操作方法とかCommunication SIMで実演、
生中継してみようかと予定しています。
関心ありましたら、ご参加ください。
生中継の全録画分閲覧
生中継の予定など詳しくは
セカンドライフ生中継生ライブ生放送まで
http://www.slnama.tv/

すぐに買いに行きました。
YouTube がSLの中で見ることができる。
500L$近い高い金額。
RLではたいした金額ではないけれど、SLでは大金です。
少し迷いましたが、結局購入しました。
でもそれ以上の価値があると思いました。
SLのなかでも画期的なものじゃないかと、私は思います。
これがあるとSLの中がかなり変わるのではないかと。
SLの会場でYouTubeの動画を見ながら、みんなで話し合う。
商品の説明はYouTubeの動画でできます。
今までのようにSSをアップロードする回数はへります。
YouTubeの動画は最大50URL登録できます。
明日 月曜日22時から
YouTubeの映像を流したり、操作方法とかCommunication SIMで実演、
生中継してみようかと予定しています。
関心ありましたら、ご参加ください。
生中継の全録画分閲覧
生中継の予定など詳しくは
セカンドライフ生中継生ライブ生放送まで
http://www.slnama.tv/