激化する仮装世界の生存競争の中でセカンドライフが生き残るにはサーバーのオープン化で主導権を取るしか
ないということらしいです。
セカンドライフの中でプライバシーやセキュリティを完全に確保しなければ、企業は安心して仮想世界に入り、
有効に活用することはできません。
そのためには各企業が独自に開発している仮装世界がセカンドライフとつながるようにしなければいけません。
仮想社会サービスにおけるアバターなどプラットフォームの標準化の動きで主導権をリンデンラボ
がとらなければセカンドライフの未来につながらないということらしい。
標準化のような大きな動きをリンデンラボ一社だけでは難しく、有力企業との協力、
合併、買収などが今後おこってくるのではと思います。
今回IBMとの共同事業を行っているので、Google以上にIBMとの関係が気になりますね。
またマイクロソフトもSLでの活動を始めていますし。
http://echoo.yubitoma.or.jp/weblog/h-yamazaki/ym/20080428/
訳記事全文
2008年4月初のVirtual Worlds Conference2008で唯一セカンドライフが脚光を浴びたのは、
なんとあの米国を代表する伝統企業IBMとのコラボレーションでした。「セカンドライフ・グリッド」
と言う動きですが、一部のマスコミは3D世界のオープン化、標準化への具体的な動きとして
注目しています。果たして「セカンドライフ・グリッド」はセカンドライフの救世主になるのでしょうか。
「セカンドライフ・グリッド」の直接的なポイントは、セカンドライフがいよいよサーバーの第三者への
開放に踏み切ったと言う点でしょう。その結果、各企業はIBMなどからサーバーを仕入れて、
十分なセキュリティを確保した「自社のセカンドライフ類似環境」を自由に持てるようになったと
言う点です。でも重要な点はそれだけではありません。
セカンドライフ側からの視点ですが、IBMとの共同事業ですね。今回のVW08でセカンドライフが
唯一スポンサーしたのがこのプロジェクトでした。伝統企業などがセカンドライフで現実世界の
ビジネスをする場合、「安全な閉じた世界が必要」と言うわけですね。
ファイアーウオールの中にあるIBMの自社開発仮想社会プラットフォームがセカンドライフに
繋がることになります。
★ 「セカンドライフ・グリッド」の特徴は何か
1) インターネットの中の閉じた世界の必要性
皆さんは「イントラバース」「エクストラバース」と言う用語をご存知でしょうか。
-「イントラバース」はイントラネットに相当する。つまり企業内の遠隔地会議用、SNS用などの仕組みです。
-「エクストラバース」はエクストラネットに相当する。つまり企業の代理店やサプライヤーなどとの交流の仕組みです。
また消費財企業などがイベントを顧客向けに行ったり、生産財企業がユーザー会を仮想社会で行う場合
にも高いセキュリティ、閉じた世界を必要とする場合があります。
現にセカンドライフで実験を行っていた米国銀行のウエルスファーゴやオランダのABNアムロ銀行は、
セカンドライフのセキュリティが不十分な為、「閉じたミーティングに不向き」として、別の仮想社会サービス
であるアクティブ・ワールドのプラットフォームを自社用に導入して、閉じた仮想社会サービスを自社行員と
顧客のために立ち上げました。しかしこの方式だとセカンドライフと企業の独自仮想社会サービスとは
全く切り離されてしまいます。
IBMとリンデンラボとの共同事業はそれへの反撃の第一弾と言う訳です。
顧客企業はサーバーを自社で調達して、IBMなどからセカンドライフに接続可能な独自プラットフォーム用
システムを導入して活用すれば良い。またそこからアバター姿でファイアーウオールを越えて、何時でも
セカンドライフに入っていけると言う訳ですね。
★ 3Dのオープン化、標準化の元型へと発展するのか
さてセカンドライフ3D時代が到来した時、生き残れる可能性があるとすれば、「3Dのオープン化、
標準化」に極めて熱心であると言う点でしょう。今回、クライアントビューアだけでなくサーバーをI
BMのようなサードパーティに開放しました。更にIBMが開発した独自の仮想社会サービスと
セカンドライフをシームレスに繋いだ点です。
ウエルスファーゴ銀行などは、セカンドライフのセキュリティの問題にぶつかり、顧客コミュニティと
行員の為に独自に仮想社会サービスを立ち上げました。オランダのアムロ銀行も同じです。
でもセカンドライフ・グリッドを活用すれば、自社の立ち上げる安全なファイアーウオール内の
独自仮想社会サービス(セカンドライフとは異なるプラットフォーム)とセカンドライフを接続できます。
これは大きな進歩です。
明らかにこの動きはリンデンラボとIBMが主導権をとり、既にグーグルやソニー、オランダのフィリップス
など20社を巻き込んで進む仮想社会サービスにおけるアバターなどプラットフォームの標準化の動きを
加速するものです。その中でリンデンラボがその主導権が取れるかどうかにセカンドライフの将来はかかっています。
もし「セカンドライフ・グリッド」がグーグルなどを含めて標準化、オープン化の元型になれば、3Dの技術環境問題が
解決しアバターライフスタイルが普及する数年後、またその時までにセカンドライフが経営上の体制を立て直せれば
、セカンドライフも再度、多くの一般消費者の参加を見込め、大手企業やエージェントも再度、セカンドライフの周辺に
回帰すると予測されます。
こうなればセカンドライフの未来は結構「ばら色」な訳ですね。